夏の参院選で立憲民主党が「民主党」の略称を衆院選に引き続き使用することを決め、神奈川県内で波紋が広がっている。同じ旧民主党の流れをくむ国民民主党も同じ略称を使った昨秋の衆院選では、どちらに投票したか分からない「民主党」と書かれた票が362万票を超えた。国民も「民主党」を軸に略称を検討中で、有権者の混乱を招く事態が再び起こりかねない状況だ。
「執行部としては『りっけん』という呼び名を浸透させたいが、そのためには過程が必要」。22日の記者会見で立民の泉健太代表は略称を民主党に決めた理由を説明したが、県連は前回の衆院選から一貫して「りっけん」を使うように主張してきた。県連代表の阿部知子氏(衆院12区)は同日、神奈川新聞の取材に「昔の名前ではなく新たな党名を覚えてもらい、立憲民主党の理念、考え方を打ち出すべきだ」と思いを明かした。
1990年代に誕生した「民主党」の系譜を継ぐ立民は2017年10月に結党。20年9月に野党が合流し、新たな立民が誕生した。しかし支持率は伸び悩んでおり、党内の危機感が高まる中で迎える参院選について、立民の衆院議員の一人は「政権交代を果たした『旧民主党』のかつての支持層を呼び込みたいのではないか」との見方を示す。