コロナ禍3度目のGW 長崎県内、宿泊やイベント対策徹底 “共存”へ変化も

3年ぶりに「稲佐山つつじまつり」が開催される長崎市の稲佐山公園ではツツジが見頃を迎えている。県内の観光地では新型コロナの感染対策を取りながら来場者を迎える準備が進む

 コロナ禍で3度目となるゴールデンウイーク(GW)が29日から始まる。長崎県の新規感染者は3月下旬から再び増加傾向にあるが、3年ぶりに開かれるイベントも多く、新型コロナウイルスと共存する「ウィズコロナ」への変化もある。

  イベント 

 5月8日までの期間中のイベントで県内最多の人出がある東彼波佐見町の「波佐見陶器まつり」は3年ぶりの開催となる。来場目標は2019年と同水準の33万人。ただ主催者の波佐見焼振興会事務局は「実際には始まってみないと分からない」と期待と不安が入り交じる。会場入り口ではマスク着用を確認し、手指消毒をお願いするなど感染対策を徹底する。
 長崎市ではGWの目玉イベント「長崎帆船まつり」が3年連続で中止となった。「稲佐山つつじまつり」など屋外を中心に中小規模のイベントは開催される予定。長崎国際観光コンベンション協会は「コロナ前には届かないが、昨年よりはにぎわいそう」と予想する。

  観光地 

 昨年は閉鎖されていた長崎市のグラバー園。今年は29日にレトロな衣装を貸し出し、園内を撮影・散策できるイベントを企画するなど積極的に来場者を出迎える。佐世保市の九十九島水族館(海きらら)も20年は休館、21年は営業時間を短縮したが、今年は通常営業に。入場者がコロナ禍前に戻りつつある同市のハウステンボス。担当者は「ウィズコロナもあり、お客さまも感染対策には理解があると思う。観光を我慢されていた人も多い。感動の体験を通して心のデトックスにしてほしい」。

  宿泊施設 

 雲仙市のホテル「ゆやど雲仙新湯」は感染対策のため客室を7割しか稼働させていないものの、GW中は「満室か満室に近い」。豊田桐子若おかみは「まだまだ」としながらも「関東方面からの宿泊も増えている。元のにぎわいが戻り始めている印象はある」。コロナ禍で高まるアウトドア需要を取り込むグランピング、キャンプ場施設は比較的好調。長崎市四杖町の「グランピングリゾート グランゾ」の担当者は「昨年より多くの予約をいただいている」と話す。
 ただ、GW期間中は県民割が適用外となったため、長崎市内のホテルでは予約のキャンセルが相次いだ。担当者は「昨年よりはましだけど、コロナ禍前と比べると全然」とため息をつく。

  交通機関 

 JR九州によると、長崎線の予約席数は前年同期比93.7%増だが、コロナ禍前の18年同期比では56.6%減。全日空長崎支店によると、長崎-羽田線の予約状況は前年同期比で65.2%増だが、19年同期比では約半分という。

 20日に会見した大石賢吾知事は「楽しんでいただくことは重要」としつつ、感染対策の徹底と3度目のワクチン接種を県民に呼びかけた。具体的な対策として▽会食の際は1テーブル4人以内など密にならない工夫▽帰省などで高齢者や基礎疾患がある人と接する際は家庭内でもマスク着用-などを挙げている。


© 株式会社長崎新聞社