越後薬草「ヤソ・アブサン」国際的酒類品評会で金賞 国産では初の快挙

 上越市小猿屋の越後薬草(塚田和志社長)が出品した酒「ヤソ・アブサン」が、世界的な酒類品評会「IWSC2020」で金賞を受賞した。国産のアブサンとしては初の快挙。同社では「YASOシリーズ」の限定酒やソフトドリンクにも力を入れていて、今後もさまざまな展開を企画中だ。

IWSC2020に出品された同社商品5点。受賞を示すラベルが付いている

 IWSC(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)は、酒類の品質向上や市場拡大を目的に、世界中のワインやスピリッツ(蒸留酒)、ウイスキーなどを評価する世界的コンペ。全世界から6000品ほどが出品されるが、最高位の金賞はこのうち2~3%しか選ばれないという。同社は今回、スピリッツの部門でアブサンの他、4品で銅賞を獲得した。

 アブサンはニガヨモギなどの薬草を原料とする、ヨーロッパのスピリッツ。薄緑色、独特な香り、水を混ぜると白濁するのが特徴で、ゴッホやロートレックなどの著名人が愛飲したことでも有名。

 今回受賞したヤソ・アブサンは、ヨモギなど80種類の素材を発酵させて生じたアルコールと、ニガヨモギなどを蒸留し、妙高市産のスペアミント、ローズマリー、大葉を浸した。昨年秋に販売した試作品が好評を博し、商品としてレギュラー化。塚田社長は「同じヨモギを使う酒として、当初から企画していた。地元産のフレッシュなハーブの香り、和のテイストも心掛けた」と語り、「まだ試作品。完成はこれから」と先を見据える。

金賞を受賞した「ヤソ・アブサン」と塚田社長。今後の展望も語ってくれた

 最近はクラフトコーラやノンアルコールのジンなど、女性層やアルコールが飲めない人向けの商品も販売している。今秋には、会社敷地内に蒸留所が開所予定。製造見学だけでなく、バーサロンやアートギャラリーを備え、幅広い年齢層にPRしていきたい考え。塚田社長は「多くの人が足を運びたいと思える施設やイベントで、人との距離を大切に、地域とのつながりをつくっていけたら」と願う。

 「ヤソ・アブサン」は700ミリリットル入り税込み8580円。度数58度。ストレートの他、水割りや炭酸割りなどがお勧め。同社オンラインショップで注文を受け付けている。

◇30日に蒸留所上棟式 一般向けに餅まきも

 同社では30日午後3時から、上越市小猿屋の同社敷地内で蒸留所の上棟式を開く。同3時から式典(関係者のみ)、同4時から一般参加での餅まきを行う。

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