市販のドラレコとの違いは?自動車保険付帯の通信機能付きドラレコのメリットとデメリット

コロナ禍で迎える3度目のゴールデンウィークが近づいてきました。密を避けて、自動車での移動やドライブを計画している人もいるでしょう。そこで考えておきたいのが、自動車事故への備えです。

自賠責保険の上乗せである民間の自動車保険には、ほとんどの方が加入されていることでしょう。ですが、旅行中の事故の場合、見知らぬ土地で、誰に連絡すればいいのか、動かなくなった車を前に途方に暮れてしまうことがあるかもしれません。そんな時役に立つのが、通信機能付きドラレコです。

2003年頃からタクシー、トラックなど事業用車を対象に普及し始めた、ドライブレコーダー(通称ドラレコ)。年々普及が進み、個人向けの自動車には標準装備にまでなりつつあります。

自動車保険と連動した通信機能付きドラレコと、市販のドラレコとの違いを比較してみました。


国がドライブレコーダーを推奨する理由

一時期、年間1万人を超えていた交通事故死者も、自動車安全装置の進化や、危険運転の厳罰化などが効果を上げ、年間5,000人を切るまでに減少しています。ですが、交通事故が無くなることはなく、あおり運転のような新たなトラブルも発生しています。

ドライブレコーダーとは、常時映像を記録したり、車両に衝撃や急ブレーキを感知した時に「さかのぼり記録」によって、衝撃の前後10~20秒間の映像を記録する装置です。

ドライブレコーダーには、事故の際、正確な記録・証拠として活用し、事故後の手続きをスムーズに進める効果、また、記録映像をみて、運転の癖を確認し、事故の抑止につなげる効果があるとして、国土交通省が中心となって推奨しています。

国の推奨を後押しするように、自動車販売会社ではドラレコ標準装備、損害保険会社では通信機能付きドラレコの推進をはかり、事故の抑止、利用者の負担軽減を進めています。

通信機能付きドラレコとは?

自動車保険会社各社は、近年、通信機能付きドライブレコーダーを自動車保険の特約として推奨しています。

保険会社から貸し出されるドライブレコーダーを装着することで、大きな衝撃を感知するとサポートセンターにつながり、安否の確認・事故時の必要なアドバイス・レッカーの手配・救急車の手配などのサポートを受けられます。

ドライブレコーダーの本来の機能である、事故前後の映像を保存し、データとしてサポートセンターへ送信することも、大きな魅力です。保険会社によってはAIで事故の状況を分析し、暫定ではありますが、事故の責任割合まで瞬時に割り出す機能も提供されています。

事故に遭ったり、起こしてしまうとパニック状態となり、何をすればいいのかわからなくなると思います。そんな時、数分のうちに声がけをしてくれる機能は、心の支えになりますし、次に何をすべきか考える手助けにもなります。

購入時、ドラレコ標準装備の車が増えています。すでに映像機能がついている場合は、衝撃検知をサポートセンターにつなぐ車載器だけの特約もあります。事故映像はすでに装備されている映像記録で対応しますが、本体で通信・通話ができないため、事故の通知がされた後、スマホへ安否確認連絡がきます。

市販のドラレコで注意しなければならない事

保険会社の特約としてドラレコを装備するのは、保険料もそれなりにかかります。ドラレコは買い取りではなく、レンタルという形で提供している会社が多いので、特約をつけている限り保険料はかかり続けます。総額でみると、市販のドラレコの方が安くなる可能性が高くなります。

あおり運転を一番気にしている場合、360度録画できるドラレコをお望みの方もいるでしょう。保険の特約のドラレコでは全方位型のドラレコは、2022年4月時点ではまだ出ていないようです。また、保険会社のドラレコはエンジン始動と共に作動を始めるタイプが多いので、駐車中の盗難を心配される方には物足りないものになってしまいます。保険会社提供のドラレコも機能には万全を期しているようですが、目的に合わせるためには、自分で市販のドラレコを選ぶことも選択肢の一つです。

市販のドラレコを選ぶ場合の注意点

ドラレコを装備していたのに、事故の際録画されていなかったということが、相当数あるようです。録画されていない原因として、ドラレコ本体の不良、電源の不具合などが考えられますが、一番多いのは、SDカードの不具合です。

対策として、SDカードを耐久性の高い製品にする、ドラレコ本体で録画映像が確認できる場合は定期的に録画を確認する、SDカードは消耗品と割切り定期的に新しいカードと交換するなどが考えられます。定期的な点検がご自身を助けます。

こんな時、通信機能があると安心

実際にあった事例をいくつかご紹介します。

地方では、事故現場に必ず目撃者がいるとは限りません。農道などでは、しばらく誰も通りかからないこともあります。先日、農道で正面衝突をし、双方路外へはじき出されて、どちらの運転手も動けない状態になってしまったという事故がありました。片方の自動車に通信機能付きドラレコが装備されていたのですが、呼びかけに応じないことと、送信された録画映像で大きな事故と判断。救急車とレッカー車の手配を即座にしたことで、両者とも一命をとりとめることができました。

免許取りたての若い運転手の例もあります。朝方の凍結でスリップし、橋の欄干へ衝突してしまった事故です。初めてのことで気が動転していましたが、サポートデスクからの呼びかけで事情を説明、早速レッカーの手配をしてもらいました。初めて通った道でしたが、GPSで場所の特定もしっかりでき、レッカー業者の到着も早かったようです。


自動車運転は危険と隣り合わせです。どんなに安全運転を励行していても、事故に巻き込まれるリスクはゼロにはなりません。

事故が起きると、解決までたくさんの時間と労力を使うことになります。通信機能付きドラレコは、その軽減に役立つのではと考えます。保険商品と装備を上手に組み合わせ、万一に備えましょう。

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