3教諭、訴え却下求める 那須雪崩事故訴訟で第1回口頭弁論

第1回口頭弁論のため宇都宮地裁に向かう那須雪崩事故の遺族ら=27日午後1時半、宇都宮市小幡1丁目

 栃木県那須町で2017年3月、登山講習会中だった大田原高の生徒7人と教諭1人が死亡した雪崩事故を巡り、5遺族が県や県高校体育連盟(高体連)、講習会の責任者だった教諭ら3人に計約3億8500万円の損害賠償を求めた民事訴訟の第1回口頭弁論が27日、宇都宮地裁(浅岡千香子(あさおかちかこ)裁判長)で開かれた。3教諭側は請求の却下または棄却を求める答弁書を提出。県側も請求棄却を求める答弁書を提出した一方、国家賠償法に基づく賠償責任は認める方針を示した。

 3教諭側は答弁書で、公務員の職務で発生した損害の賠償責任は国や自治体が負うとする国家賠償法を理由として、賠償責任を否定した。訴訟の被告として不適格だとして訴えの却下を主張し、訴えの内容自体も棄却を求めた。

 県と県高体連は請求棄却を求めたものの、県教委による第三者検証委員会の報告書に基づく事故の事実関係や賠償責任自体は認めた。いずれも具体的な主張は次回以降に示すとした。

 遺族側は訴状に基づき、事故の概要や3教諭の重大な過失、過去の全国の雪崩事故の判例を説明した。事故で死亡した奥公輝(おくまさき)さん=当時(16)=の父勝(まさる)さん(50)と、大田原高山岳部第3顧問毛塚優甫(けつかゆうすけ)さん=当時(29)=の父辰幸(たつゆき)さん(70)の2人が意見陳述した。

 訴状では、冬山登山を禁じた国や県の通達や事故前日からの雪崩注意報、事故7年前の講習会でも雪崩事故を経験していた点などから、3教諭が雪崩発生を予見できたと指摘。「雪崩の危険性が限りなく高い条件下で雪上訓練を強行した」と過失の重大性を訴えている。

 事故を巡っては、6遺族が20年3月、事故発生の責任を明確に認めた上での謝罪と相当額の損害賠償を求めて民事調停を申し立てたが、3教諭の責任の所在などで折り合わず、今年1月に不成立となっていた。

宇都宮地裁で開かれた那須雪崩事故訴訟の第1回口頭弁論=27日午後、宇都宮市小幡1丁目(代表撮影)

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