知床遭難、神奈川の観光船関係者に衝撃 大型連休控え影響懸念も

ゴールデンウイーク期間中は乗員を増やして安全対策に努める水中観光船「にじいろさかな号」=三崎漁港

 北海道・知床沖の観光船遭難事故は、神奈川県内の観光船関係者にも衝撃を与えている。これまで通り安全運航の徹底に努めながらも、大型連休を控えて集客への影響を懸念する声も上がる。

 県最南端の三浦市内では、半潜水式の水中観光船「にじいろさかな号」(定員60人)が運航している。三崎漁港の「うらり」前を発着所に、東京湾内の宮川湾で海中展望を楽しんで戻る約40分間の船旅だ。

 運航管理するスバル興業三崎マリンセンターは、波の高さ1メートル以上、風速15メートル以上、視界300メートル以下のうち、一つでも該当する場合は欠航するという安全管理規定を定めている。条件的にはクリアしていても、船長が危険と判断した場合は欠航する場合もある。海上保安庁の気象データなども参考にし、これまで一度も事故は起きていないという。

 報道によると、遭難した観光船は地元漁師らの忠告を聞かず出港したという。「会社の判断基準は分からないが、なぜ海を一番知っている漁師の話を無視したのか」。同センターの丸川一美所長は首をかしげる。

 通常は船長を含む2人の乗員が乗船しているが、ゴールデンウイーク期間中は1人増やして対応する。丸川所長は「自然環境は異なるが、人命を守ることを最優先に安全運航を徹底したい」と気を引き締めている。

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