運転手が勤務中に過労死、横浜地裁が会社に3800万円賠償命令 「長期間の過重業務の結果、心筋梗塞発症」

判決後に取材に応じ、再発防止を訴えた亡くなった男性の妻(左)と長女=横浜市中区

 2015年に心筋梗塞で死亡した神奈川県内在住の男性運転手=当時(63)=の遺族が、勤務中に死亡したのは長時間の時間外労働が原因などとして、運転手の派遣や車両運行管理を手掛ける「セーフティ」(東京都)に計約6千万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が27日、横浜地裁であった。山田真紀裁判長は「長期間の過重業務の結果、心筋梗塞を発症したと認めるのが相当」などとして、同社に約3800万円の支払いを命じた。

 判決などによると、男性は13年に入社し、取引先企業の社長付運転手として、送迎や車の管理業務を担当。15年10月、目的地に到着後、待機中に運転席で動かない状態で発見され、約2時間後に死亡が確認された。死因は心筋梗塞で、17年に労災と認定された。

 裁判長は、発症前6カ月間の時間外労働が月平均147時間を超え、特に15年6月以降は休日出勤や深夜労働も重なるなど「著しい疲労の蓄積をもたらす過重な業務だった」と認定。同社は「通勤時間や走行していない待機時間は(労働時間に)含まれない」と主張していたが、「車両運行は業務の一環。待機中も解放されていない」と退けた。

 男性から業務の過重や健康状態の申告がなかったなどとして同社が否定した安全配慮義務違反も認定。「申告がなければ負担軽減措置をとる必要がないと考えており、適切な労務管理とは言い難い」と指弾した。

 同社は「まだ判決書を確認していないので、コメントは差し控える」とした。

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