【新型コロナ】第6波での自宅死亡、少なくとも555人 第5波の2倍以上

 新型コロナウイルスの感染状況や感染対策について評価、提言を行う厚生労働省の専門家会議(アドバイザリーボード)が27日開催され、会議に提出された資料で、今年1月〜3月のいわゆる「第6波」の期間内に自宅で死亡した人が少なくとも555人に上っていることが分かった。まだ報告していない自治体もあり、数値はさらに上振れする可能性が高い。

2回目ワクチン接種済の死亡者も一定数 基礎疾患ありが64%

厚生労働省提出の資料より

 27日の会議に提出された資料によると、これまで都道府県からの報告があった事例を集計したところ、今年1〜3月に自宅で死亡した感染者は男性352人、女性203人だった。年代別では80代以上55%、70代24%、60代10%で、60代以上が約9割を占めている。

 ワクチンの接種回数ごとに分析すると、2回接種は39%、3回接種は5%、1回接種は2%だったが、未接種で感染、死亡したのは16%にとどまった。免疫回避機構を持っているオミクロン株の特性がうかがえる数値となっている。また基礎疾患「あり」が64%で多数を占めており、ハイリスクな人たちへのより早期のケアの必要性が改めて浮き彫りになった。

死後に感染判明が34%強

 死亡直前の診断時の症状でみると、「軽症・無症状」43・4%、「中等症」7%、「重症」2・2%だったが、注目すべきなのは死後に感染が判明したのが全死亡者の34・2%に上っていることだ。これまで、感染爆発時には検査や保健所からの連絡が追いついておらず、最長で数日間待たされる事例が多発していたことが明らかになっているが、感染が疑わしいにも関わらず検査や連絡待ちで処置が遅れ、その間に急変した事例が少なからずあったことを示唆している。具体的な事例についての要約が資料にも掲載されているが、実際に「入院調整や宿泊療養の対象となるも直後に死亡するケース」「陽性が判明した直後に死亡するケース」「遺族から入院できなかったことや保健所からの連絡が遅いことに対する不満の声があった」と、対応の遅れを示唆する報告が上がっている。

 厚生労働省は自治体からの報告を受け、今後の対応として「自宅療養者が確実に医療を受けることができる環境整備が重要」とし、一部の自治体で実施されていた疫学調査の優先順位の変更、SMSを活用した早期の連絡などを横展開するとしている。

【概要】新型コロナ患者の自宅での死亡事例に関する自治体からの報告について(厚生労働省提出資料)

© 合同会社ソシオタンク