復元AI音声が天才ウォーホルの秘めたる悩みを独白!? Netflix『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』

Netflixドキュメンタリー『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』独占配信中

どうもアニです。

Netflixドキュメンタリー『アンディ・ウォーホル・ダイアリーズ』を観ました。20世紀を代表する芸術家、アンディ・ウォーホルがつけていた日記を映像化したドキュメンタリー作品です。

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ウォーホルの声をAIで再現!

なぜ今頃? と思うかもしれないけど、このドキュメンタリーがすごいのはアンディ・ウォーホルの声をAIを使って再現して、その日記を朗読させているというのが、とても今っぽいんです。そして、日記に書いた時の映像とか写真がだいたい残ってるので、それらの素材をふんだんに使って構成されていて、とても興味深い作りになってます。

日記は本人が書いていたわけではなくて、本人がその日にあったことを電話で喋って記録係が文章に記録していくというスタイルで、文章化されたものを本人がチェックして直しを入れたりするという、後で見られることを前提にしている日記。本人の没後に書籍化されたそうです。それは読んでないけど、そこからいくつか抜粋したドキュメンタリーが本作です。

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ウォーホルの作品はポップ・アートとして超有名なので、目にする機会は多いし、現在の様々なものに影響を与えているので、美術とかにそんなに興味がない人でも作品は知ってる、くらいの美術界の巨人でしょう。でも、本人がどういうことを考えてたのか? はあまり知られていないような気がするし、自分もよく知らなかったので、興味深く観れました。

観ていて思ったのは、現代のSNS的なことを先取りしてるんだな、ということ。常に写真や映像で自分のやってることを記録してるし、その時何があって、何を思ったのかも文章として記録しています。70年代くらいだと、まだ家庭用ビデオカメラとかもそこまで普及していない時代だから、映像を記録してたりしてて時代を先駆けているのはすごい。

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当の本人も、三十数年後に最新テクノロジーを駆使して、自分の声まで複製再現されて、つけていた日記を基にドキュメンタリーが制作されることになるとは思っていなかっただろうけど。

日記には本人の悩み的なことも吐露されてて面白い。ロイ・リキテンシュタインやジャスパー・ジョーンズの方が自分の作品よりも高く取引されてるとか、有名人の肖像画をひとつ5万ドルで請け負うようになって、自分のやってることはアートなのか単なるビジネスなのかとか。

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美術館で実際に見たウォーホル作品はホンモノの“絵画”だった

ウォーホル自身は60年代に大成功して、世間から過剰に注目されるようになったおかげで「ウォーホルはもう古い」とかやたらと言われるんですね、有名人のサガとして。そんな中、雑誌を作ったり、ケーブルTVの番組を作ったりして、絵画だけじゃなく色んな表現方法でメディアの注目を集め続けます。

この頃には日本のCMに出たり、ラッツ&スターのジャケットを手がけたり(ちなみにラッツ&スターのジャケットの絵は、エピックソニーの社長室に飾られてたのをエピックに所属中にちょいちょい見かけました)。そしてレーガン大統領の就任式に呼ばれたりするくらいの有名人だったりします。本人は民主党支持だったらしいけど。

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80年代に入ると新たなストリートアート(地下鉄のグラフィティ等)が注目されて、そこから新たなアーティストたちが現れます。そんな中、バスキアと出会い、バスキアの才能に惚れ込んで可愛がるようになって、一緒に作品を制作したりして師弟みたいな関係になるんですが、批評家たちからの評判は芳しくなくて、お互いがお互いのことを利用してるだけだ、的なことを言われてしまいます。

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そんな中、わりと近くにあったゲイカルチャー周辺ではエイズが猛威をふるい始めます。当時はまだまだ新しい病気で、治療法もなく、みんながパニックになっていく感じはコロナが流行り始めた時に似ていて、未知の病気に対する反応って今も大して変わんないんだなと思いました。でも、知り合いが次々に謎の病気で亡くなっていくのは怖いだろうなと思います。ウォーホル自身もゲイだったみたいですが、最後まで公にはしなかったらしいです。公然の秘密というか、最後まで自分から言うことはなかったそうです。

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ウォーホルは1987年に58歳で生涯を終えます。没後に作品が再評価されて、高額で取引されるようになったらしいけど、ウォーホルに限らず死んだら価値が上がるのって、どうなのかとは思います。まぁしょうがないことなのかな。

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バスキアのガツガツ精神を見習おう! 孤高の天才アーティストの若かりし姿を追うドキュメンタリー『バスキア、10代最後のとき』

ウォーホルの作品は美術館で見たことがありますが、実際に間近で見るとアナログ感満載で、もっと印刷されたみたいにツルッとしてるかと思いきや、絵の具がモリモリで全然絵画じゃんっ! と思った記憶があります。あと本物はどれもサイズがデカくて迫力がありました。

筆者撮影@ベルリン美術館

このドキュメンタリーはバスキアが出てくるあたりで、当時のストリートアートの大物たち(フューチュラとかリー・キュノネス、ケニー・シャーフ等)がインタビューに答えているので、ストリートアートが好きだったり興味のある人にもおすすめです。

筆者撮影@ベルリン美術館

では、またまた。

文:ANI(スチャダラパー)

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