食の雑誌「dancyu」が初プロデュースした食堂に行ってみた 東京駅八重洲口にオープン「毎日食べたくなる普通においしいものを」【にっぽん食べ歩き】

立ち飲みカウンター、植野広生編集長(右)と松浦寛大料理長

 食いしん坊のための雑誌「dancyu」(プレジデント社)が初めてプロデュースした飲食店「dancyu食堂」が東京駅八重洲口の「グランスタ八重北」にオープンした。植野広生編集長は「毎日食べたくなる普通においしいものを提供していきたい」と、店のコンセプトを話していた。(共同通信=中村彰)

 「dancyu食堂」は昼は定食、夜は酒とおつまみが中心。一つ一つの食材を丹念に選び、調理にも工夫を凝らしている。

「生姜焼き定食」

 定食には「生姜(しょうが)焼き」(1480円)、「焼売(シューマイ)」(1100円)、「アジフライ」(1480円)など身近なお総菜をそろえた。

 生姜焼きには千葉県産の「匠味豚」を使用。たれにはリンゴ(紅玉)のすり下ろしを加えた。加熱すると甘みと風味が増す紅玉を使ったことで、適度な脂の甘みとの相乗効果が生まれ後を引く味わい。

 焼売は肉と野菜の2種類を一皿に盛る。肉焼売は大きめにひいた肉の食感が、野菜焼売は白菜、キャベツなどの甘みが特長。皮は多くの有名店が導入している橋爪製麺(東京都品川区)のものだ。

 お米は岩手県陸前高田市の「たかたのゆめ」を七分づきにして羽釜で炊き上げる。みそ汁のだしはかつお節、さば節、昆布、シイタケなどから。みそは江戸甘みそ、仙台みそ、東松島長寿味噌を合わせる。東松島長寿味噌は東日本大震災で被災した宮城県石巻市のみそ蔵が東松島市に移転して生産しているもの。具材のワカメは石巻産だ。

「筑前煮」(実際の商品の一部)

 おかずにしても、おつまみにしてもピタリとはまる小鉢類も充実している。「筑前煮」(380円)は焼いた鶏肉が香ばしく、炒め煮したレンコン、ニンジン、シイタケがしょうゆと合わさり食欲をそそる。

 「dancyu農園干し野菜のはりはり漬け」は何と150円。干したことで野菜のうまみが凝縮され、隠し味の梅干しが効いている。「ポテトサラダ」(380円)は硬めにゆでたジャガイモとキュウリ、ニンジン、ハム、リンゴをマヨネーズであえた一品。強めのからしのインパクトが印象的。小鉢7品を楽しめる「小鉢定食」は980円。

「dancyu農園干し野菜のはりはり漬け」

 「今日食べて明日も食べたくなる、10年後も食べたくなるような普遍的なおいしさを追い求めてきたが、それが具現化した」と植野編集長。「家族でご飯を食べたり、お父さんが飲んだりする、街の集会所的空間がつくれたらいいなと、自然にこういうメニューになった」とラインアップができた経緯を説明する。

 今後は誌面で紹介した食材の提供や体験イベントの開催も視野に入れている。植野編集長は「私が(カウンターの)中に入ることがあるかも」と話していた。

 営業は午前11時~午後10時、無休。

「dancyu食堂」の外観(提供写真)

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