失敗続きだった男が手作りした日本最南端の卓球場

いつかは、今だ。

これは、失敗続きだった男が、生まれ育った石垣島に戻り、手作りの卓球場を開いた話である。
宮良当映(みやらまさあき)、38歳。

結果的にそれが、日本最南端の民営卓球場であっただけで。

写真:宮良当映さん/撮影:槌谷昭人

写真:石垣島にある卓球場 アックンTT/撮影:槌谷昭人

ほぼ自分で作った卓球場

写真:石垣島にある卓球場 アックンTT/撮影:槌谷昭人

石垣島の卓球場には、石垣島の風が吹いている。

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島のみんなが喜んでくれたから

写真:アックンTTに通う子どもたち/撮影:槌谷昭人

宮良当映(アックンTT)

穏やかに話す宮良当映さん

最低の4年間

大学卒業後、宮良さんは沖縄三越に就職、実業団チームで3年間プレーする。
退職後は一転、沖縄そば屋で一年修行した後に独立したが…。

写真:宮良当映(アックンTT)/撮影:槌谷昭人

木がトンネルのようだ

宮良は32歳で石垣島に戻ってきた。
自分が学生の頃、島にこういう場所があったら良かったという場所を作ろうと思った。

地元の人が集まり、いつでも卓球ができて、子どもが自転車で通えるところにある、卓球場。

6年が経った。
いつかは、今だった。

アックンTT

島の子どもたち、最初は“なんだろうこれ”

写真:アックンTT入り口に置かれた手作りの料金箱/撮影:槌谷昭人

練習に励む仲里剛虎(なかざとたけと)くん

島では社交的で活発な子は団体競技に行く

写真:修理を重ねたボール拾いの網/撮影:槌谷昭人

アックンTT

石垣島の人の特徴は

取材終わりに、宮良さんと共に、お勧めの八重山そばのお店に寄った。
お肉が細切りなのが、八重山そばの特徴とのことだ。

写真:並ぶ沖縄料理メニュー/撮影:槌谷昭人

そばを待ちながら、ふと石垣島の人の特徴を聞いてみた。

「そうだなあ、ゆったりしてて、お人好しで、芸事が好きで、お酒が好きで、時間にルーズで、だからスポーツで勝てないのかも(笑)」
それは、宮良さんが身に纏う雰囲気でも、少しわかる気がした。

島では、人も時間も、ゆっくりと巡る。

八重山そばは、思ったよりもあっさりしていて、とても美味しい。

「ソーキそばより、食べやすいんですよね」

「そうだ、ここのかまぼこ、石垣島の形してるんですよ、ん、あれ、本当かな」
そう笑う宮良さんが、一番石垣島の形をしていた。

写真:八重山そば

(終わり)

取材・文:槌谷昭人(ラリーズ編集長)

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