必要最小限の防衛力も諸条件考慮で 自民提言

 自民党は27日、岸田文雄総理に対し、国家安全保障戦略などの策定に向けての提言を行った。「日本を取り巻く安全保障環境が加速度的に厳しさを増している」とし「防衛力の強化は一刻の猶予も許されない」とし、国防予算の対GDP比率(2%以上)を念頭に5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準達成を目指す」よう予算確保を強く求めた。

 また戦い方が変化していることに対応すべきと「陸海空自衛隊戦力の戦力構成の見直し、統合運用の観点からの防衛力整備の実施、司令官新設を含めた常設統合司令部の設置などの措置を講ずるべきと提言。

 このほか、即応性と継続戦闘能力の向上を図るため、自衛官の定員と実員の乖離解消ができるよう、必要な人員増を行うことや女性自衛官の活躍、予備自衛官・即応予備自衛官を含む予備役制度見直し、体制強化を求めた。

 加えて、弾道ミサイル攻撃などによる武力攻撃対応に、敵基地攻撃能力の表現を言い換えた「反撃能力」の保有を求めた。

 自民党は「迎撃のみでは防衛しきれない恐れがある」と「憲法・国際法の範囲内で、基本的な(日米の)役割分担を維持しつつ、『専守防衛』の考え方の下、相手国のミサイル基地に限定せず、相手国の指揮統制機能なども(攻撃できる)反撃能力を保有するよう」求めている。

 自民党は提言で使った「専守防衛」について「相手から武力攻撃を受けた時に初めて防衛力を行使し、その態様も、自衛のための必要最小限にとどめ、保持する防衛力も自衛のための必要最小限のものに限るなど、憲法の精神に則った受動的な防衛戦略の姿勢をいう」と説明したうえで「必要最小限」の「具体的限度」については「その時々の国際情勢や科学技術などの諸条件を考慮し、決せられるもの」と、かなり裁量範囲の広い定義付けになっている。(編集担当:森高龍二)

© 株式会社エコノミックニュース