コクヨと5大学1施設、「しゅくだいやる気ペン」を用いた学習支援を共同研究

コクヨ株式会社と、京都橘大学など5大学1施設の学習支援専門家から成る研究チーム※は、IoT文具「しゅくだいやる気ペン」を用いた、発達に特性がある子どもたちに対する学習支援の共同研究を2022年4月21日(木)より開始した。

コクヨのIoT文具「しゅくだいやる気ペン」は、スマートフォンのアプリと連動して、勉強に取り組む子どもたちの日々の努力を“見える化”し、学習への意欲を高めていくために開発された商品。コクヨでは、この「しゅくだいやる気ペン」を、生活や学習に工夫が必要な、発達に特性のある子どもたちの学習をサポートするツールとして試用した際、顕著な成果を得た例があったため、本格的な研究へと移行することにした。

今回の共同研究では、発達に特性がある子どもたちに対する学習支援ツールとしての「しゅくだいやる気ペン」の有効性を検証するのが目的。100名規模の対象者が「しゅくだいやる気ペン」を使って家庭学習を行い、質的な変化を分析する班と、しゅくだいやる気ペンから得られるIoTデータを分析する班にわかれて研究を行う。

質の面では、「しゅくだいやる気ペン」を教育現場における学習習慣獲得のための方策のひとつとして検討し、専門職(作業療法士)の視点から、本ツールの教育及び療育現場での適応の方向性を示す。IoTデータの分析からは、教育・療育の現場にフィードバックするサイクルを回すことで、子どもの個性に応じた学習習慣の獲得方法、家庭学習支援方法、やる気向上策等を見つけ出す。

今後は、研究成果の第1弾を第56回日本作業療法士学会(2022年9月16日~18日@京都国際会議場)にて発表する予定。

文部科学省の調査※によると、公立の小中学校の通常の学級において、学習面または行動面で著しく困難を示す児童は6.5%、2018年の全国での不登校児童数を16万人と言われている。発達障がいへの理解や支援について、以前に比べ社会の関心は高まっているが、支援ニーズに供給が追いついていないのが現状。家庭学習現場からは「取り掛かりまでに時間がかかる」、「持続して机に向かえない」、「運筆が不安定」など、様々な要因から子どもの学習習慣の獲得は容易ではない。文部科学省「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」」

※研究チームは、京都橘大学健康科学部 川﨑一平助教・原田瞬助教/大阪公立大学医学部リハビリテーション学科(研究当時 大阪府立大学)中岡和代講師/藍野大学医療保健学部 高畑脩平助教/白鳳短期大学リハビリテーション学専攻 福永寿紀講師/大阪人間科学大学保健医療学部 西井正樹教授/児童デイサービス施設合同会社BASEともかな 高島聡江氏

※平成24年「通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」

参考:【コクヨ株式会社】IoT文具「しゅくだいやる気ペン」を用いた発達に特性のある、生活や学習に工夫が必要な子どもたちへの学習支援の共同研究を開始

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