2022年4月6日にJR九州の小倉総合車両センターにて新D&S列車「ふたつ星4047」に関するイベントが行われた。
新D&S列車「ふたつ星4047」の概要
ふたつ星4047は西九州新幹線の開業と同じ9月23日に佐賀・長崎地区に導入される水戸岡氏ら監修の観光列車である。
この車両のコンセプトは「西九州の海めぐり列車」であり、ふたつの海(有明海と大村湾)の“車窓”や海がもたらした“地域のおいしいもの”を乗客に楽しんでもらうことを目的としている。また、西九州新幹線と組み合わせることで、“自分だけの自由な旅”をすることが可能になる。
ふたつ星4047の注目するべきポイントとして以下3点が挙げられた。
ラウンジ40(よんまる)
「ラウンジ40」とは共用スペースとして利用される2号車のことである。1両全てが共用の車内にはリーチイン冷蔵庫(コンビニエンスストアで見かけるようなガラス扉の冷蔵庫)や販売カウンターが設けられ、沿線にちなんだ軽食や飲料の販売を予定している。
車窓・地域
二つの海(有明海と大村湾)の景色を通じ、その日その時の旅を楽しむ、地域と連携して沿線の魅力を発信するという思いが込められている。
おいしいもの
車内限定でオリジナルの駅弁やスイーツの販売を予定している。また、西九州の特産品を扱い、“食”から魅力を発信する予定である。
運行ルート
・午前便 武雄温泉→(佐世保線)→肥前山口
肥前山口→(長崎本線旧線経由)→長崎
・午後便 長崎→(長崎本線旧線経由)→諫早
諫早→(大村線)→早岐
早岐→(佐世保線)→武雄温泉
土日祝日を中心に各ルート1日1本ずつ運転され、所要時間は各ルート3時間程度の予定である。
値段は武雄温泉→長崎(午前便)の場合、一人あたり4180円(運賃1850円+特急料金2330円)、長崎→武雄温泉(午後便)の場合、一人あたり4500円(運賃2170円+特急料金2330円)となっている。駅窓口やインターネット予約で購入可能である。また、途中停車駅での乗降も可能の予定である。
下図にふたつ星4047に改造される車両を示す。前からキハ47(元特急はやとの風)、キハ140(元特急いさぶろうしんぺいの予備車)、キハ147(元特急はやとの風)である。
キハ47(特急はやとの風)
キハ140(特急いさぶろうしんぺい・予備車)
キハ147(特急はやとの風)
改造後は、
- 1号車(キハ47):普通車指定席(38席)、車いす対応座席
- 2号車(キハ140):ラウンジ40(ビュッフェやラウンジを設置)
- 3号車(キハ147):普通車指定席(48席)
となる。
インタビューにおいてJR九州の古宮社長はこの列車を通してシュガーロードと呼ばれた長崎街道に関することなど佐賀や長崎の歴史を伝えるとともに、山が中心の景色である西九州新幹線と違って、海に焦点を当てていることに注目してもらいたいと述べた上で、観光列車を通じて九州を元気にしたいという思いを述べた。
一方で、水戸岡氏はデザイナーの信頼や地元との一体感があってこそ、新しい観光列車を作り出すことができる。そして、ふたつ星4047は800系新幹線と同様、デザインでは一般的にタブーとされる白が目立つような車体で、「今までに無いものを作る」をモットーにお客様が乗車したくなるような工夫が凝らされていると述べた。
改造前の車両の前で話す2人。
左が古宮社長、右が水戸岡氏
参考文献:JR九州 ~西九州の海めぐり列車~「ふたつ星4047」運転開始日及びインテリアデザインについて
【著者】九州大学鉄道研究同好会
はじめまして!九州大学鉄道研究同好会(略して九大鉄研)です。創立は1977年、現在は部員41名で活動しています。誠意を持って執筆する所存ですので今後ともよろしくお願いします。