【日本の美しい禁足地vol.2】クリアブルーの海に囲まれた~沖縄八重山郡の「新城島(パナリ島)」~

歴史や宗教的な背景などで立ち入ってはいけない場所。それが「禁足地」です。今回は、沖縄県八重山郡にある「新城島(パナリ島)」をクローズアップ。周辺には石垣島や西表島、黒島などがあり、観光名所として人気のエリアにありながらも、唯一ガイド同伴でないと立ち入ることができない「新城島」は、なぜ禁足地になったのでしょうか? その秘密に迫ります。

image by 国土地理院 from Wikipedia

>>>踏み込むべからず。なぜ「禁足地」なのか、その謎に迫る

ほとんど人が住んでいない「新城島」

現在、新城島は過疎化が進んでいて、島民は10名以下だといわれています。もちろん、宿もなければ、商店も存在しません。スマートフォンが通じない可能性も。石垣島から新城島への定期船もなく、スキューバーダイビングやシュノーケリングのツアーに申し込み、ガイド同伴で行くしかありません。その際見学できるのは、島の一部だけ。

人魚伝説が残る島

かつてパナリ島周辺の海には、人魚としても伝承が伝わる「ジュゴン」が生息していました。パナリ島では、ジュゴンを捕獲し、琉球王朝に献上していたそうです。なぜなら、その当時、ジュゴンの肉や皮を食べると、不老不死になると信じられていたからです。

新城島には捕獲したジュゴンの骨などを祀っている神社「人魚神社」があり、ここは島民以外は禁足地となっています。島民もお祭りの日しか立ち入れないのだとか。

島内には神の道や御嶽など禁足地が多数

新城島には、通ることを禁じられている「神の道」や、「人魚神社」以外にも立ち入り禁止の「御嶽」が多数存在します。

御嶽は神様を祀っている神聖な場所なので、新城島を訪れる機会があっても立ち入らないように十分注意したいですね。もちろん撮影も禁止です。

録音や撮影を禁止すると書かれた看板が点在

島には録音や撮影を禁止すると書かれた看板が点在しています。しかし、具体的に何の録音や撮影が禁止なのか定かではありません。

このような看板が置かれている理由は、毎年7月の終わり頃に開催される「豊年祭」で登場する神様「アカマタ」「クロマタ」に関係しているのかもしれません。このお祭りの詳細は一切明かされていません。島民のみしか知らないお祭りなのです(島民も外部への他言は禁止です)。

神おろしの儀式が行われている!?

「豊年祭」には、全国から300名の島民(元島民も含む)が集まってくるとか。一体、どのようなお祭りを行なっているのか、気になりますが、一説では神おろしの儀式が行われているといわれています。儀式の後、夕方から被り物をした巫女(ノロ?)が神の代わりとして、精霊を宿した人々に先導されて移動し、島の家を1軒ずつ訪れるとか。

過去には、このお祭りの詳細を知ろうと新城島を訪れたジャーナリストや学者などがいました。ですが、島民により撮影機材を海に投げ捨てられたり、暴力事件に発展したことも!

このお祭りが新城島の数多くの禁足地と深い関係があるのは間違いなさそうです。しかし、これも日本の文化のひとつとして、あえて踏み込まずに大切に見守りたいですよね。日本のなかに、報道しない、写真にならない神秘的なお祭りがあってもよいのではないでしょうか。

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