バスケットB3 長崎ヴェルカ、Vロード快走 リーグ優勝・B2昇格

第29節の4月23日、アウェー岩手戦で優勝を決めた長崎ヴェルカ。試合後、笑顔で集合写真に納まる選手とスタッフ=盛岡市、盛岡タカヤアリーナ
◎初勝利  昨年10月2日、アウェー鹿児島でのリーグ開幕戦。4点差を追う後半から地力を発揮し、90―70で白星発進した。フォワードのジェフ・ギブスらベテラン勢の経験が生きた=鹿児島市、鹿児島県総合体育センター体育館

 バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)の2021~22シーズン。長崎ヴェルカが第29節の4月23日、アウェー岩手戦でリーグ優勝と2部(B2)昇格を決めた。「最短で1部(B1)へ」を掲げてきた新規参入クラブが見せた快進撃。ヴェルカは名実ともに「長崎スポーツ界の顔」になると同時に、日本のバスケットボール界に鮮烈な印象を与えた。

◎ホーム開幕  第2節の昨年10月9日、ホーム開幕戦。地元ファンの前で横浜EXに109―66で快勝した。第1クオーター、フォワードのマット・ボンズが決めた豪快なダンクシュートに、1888人が詰めかけた会場は沸いた=長崎市、県立総合体育館
◎金星  昨年10月30日、天皇杯全日本選手権3次ラウンド。B1のSR渋谷に85―84で競り勝つ金星を挙げた。ガード松本健児リオン(右)が東京五輪代表のベンドラメ礼生をドライブで抜き去る=佐賀県唐津市、唐津市文化体育館
◎名将  第28節の4月17日、ホームのアイシン戦で指揮を執る伊藤拓摩監督(左)。チームの士気を下げることなく、コロナ禍の不安定なシーズンをしっかり乗り切った=諫早市中央体育館

 2020年10月、通販大手のジャパネットホールディングス(長崎県佐世保市)を母体に、県内初のプロバスケットボールクラブとして設立。伊藤拓摩ゼネラルマネジャー兼監督の下に集まった選手たちは、堅守速攻を存分に発揮しながら、指揮官が求める「見ていてわくわくするバスケット」を体現した。
 21年10月2日の開幕戦で鹿児島を90-70で下すと、そのまま一気に13連勝。一度、ライバルのA千葉に敗れて2位に落ちたが、それ以外は首位を走り続けた。そして迎えた4月23日のアウェー岩手戦。ガード狩俣昌也、フォーワードのボンズらを中心に勝利をつかみ、最終節を残して優勝を決めた。通算42勝3敗、勝率9割3分3厘という圧倒的な強さだった。
 B1、2も含めたリーグ記録も打ち立てた。今季の1試合平均得点が100点を超えているのはヴェルカだけ。4月2日のホーム山口戦では歴代最多となる148得点をマークした。リーグ戦と並行して行われた昨年10月末の天皇杯全日本選手権3次ラウンドでは、前々回大会王者のB1渋谷に85-84で競り勝った。上のステージで戦える力も示した。
 運営面も力が入っていた。選手たちだけでなく、チア、事業部が一枚岩となり、来場した地元ファンに最後まで楽しんでもらえる空間づくりにこだわってきた。長崎市の県立総合体育館であった昨年10月のホーム開幕節は、試合前に龍踊りが舞うなど、長崎らしい演出で観客席を盛り上げた。岩下英樹社長自ら、入場口でプログラムなども配布していた。
 きょう4月30日(17時試合開始)と5月1日(14時試合開始)は、県立総合体育館で最終節の2連戦。30日は試合後に優勝セレモニー、5月1日は午後6時20分から長崎市の浜町アーケードで優勝パレードを予定している。長崎市出身で共同主将を務めてきたガード髙比良寛治は「優勝しても変わらずにヴェルカのスタイルを貫く。会場のみなさんと一緒に、今シーズンのベストゲームにする」と意気込んでいる。

プレーヤーとして、精神的な柱としてチームをけん引したポイントガード狩俣昌也=盛岡市、盛岡タカヤアリーナ

© 株式会社長崎新聞社