新型コロナウイルスの感染が続く中、政府による行動制限のない初のゴールデンウイーク(GW)が29日、始まった。栃木県内観光地では人出の回復に期待が高まるが、曇りや雨のあいにくの空模様となり、客足の鈍い名所も目立った。北海道・知床半島沖で起きた観光船事故や高止まりするコロナ感染者数を受け、関係者は「安全が第一」と設備の点検や消毒に気を引き締め初日を迎えた。
雨交じりの冷たい風が吹いた同日午前、奥日光の中禅寺湖で運航する遊覧船では、家族連れらが思い思いに湖上の旅を楽しんだ。
この日、全7便に乗船したのは計83人。コロナ前の約5分の1だが、昨年に比べ乗船客は増加した。
運航する東武興業(東京都)は知床半島沖の事故を受け、船体などの設備をより念入りに点検した。同社中禅寺湖遊覧船支配人の山野井秀一(やまのいしゅういち)さん(55)は「荒天で人出が少なく残念」。一方、「楽しんでもらうため、船の安全対策やコロナ感染対策を万全にする」と強調した。
3月上旬に割れていることが判明し話題となった那須町の国指定名勝「殺生石」。付近は朝から肌寒く、観光客の姿はまばらだった。
県外から足を運んだ人の中には割れたことを知らなかった人も多く、地元のガイドに「どうして割れたの」と質問する姿もあった。
キャンプで訪れた千葉市、会社員小林哲也(こばやしてつや)さん(43)は「家族で県外に出掛けるのは本当に久しぶり。周囲で旅行ムードが高まっていると感じる」と話した。
宇都宮市のオリオンスクエアでは恒例の「うつのみや29(に~きゅ~)グルメフェスティバル」が開かれた。コロナ前の来場者は数千人規模。コロナ対策で規模を縮小する中、県内外から昨年の2倍の約1千人が訪れ、メンチカツや牛串などに舌鼓を打った。
佐野市の佐野プレミアム・アウトレットには午前10時の開店前から首都圏や近県ナンバーの車が次々と訪れ、入り口近くの駐車場はほぼ満車状態に。施設ではイベント「ハッピー・イースター」を開催し、フォトスポットが人気を集めた。
埼玉県熊谷市から家族で来たという40代男性は「午後から雨が降るというので予定を早めた」と話し、空模様を気にしていた。