大阪・関西万博に「和歌山館」 観光を疑似体験

大阪・関西万博に向けた県の取り組みを紹介する県商工観光労働部の寺本雅哉部長(29日、和歌山市で)

 2025年に大阪市の夢洲で開かれる「大阪・関西万博」に向け、機運を高めていこうというシンポジウムが29日、和歌山市の県民文化会館で開かれた。和歌山県は「和歌山館」(仮称)を設け、来場者に臨場感がある映像で観光を疑似体験してもらい、実際の観光に誘導する仕組みづくりを検討していることを紹介した。

 シンポジウムは県と県商工会議所連合会が主催。オンライン配信を含め、多くの人が参加した。

 大阪・関西万博は「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに、25年4月13日から10月13日までの184日間開く。来場者数は約2800万人を想定している。

 大阪・関西万博での県の取り組みについて、県商工観光労働部の寺本雅哉部長が説明した。

 それによると、県は関西広域連合の「関西パビリオン」(仮称)の中に県の歴史や自然、文化を紹介する「和歌山館」を設置。360度楽しめる映像を使い、精神文化を背景にした観光資源について疑似体験してもらう。例えば、那智の滝は、高さや音などのほか、水しぶきも感じられるようにできないか検討しているという。

 交通アクセスの利便性向上にも取り組み、万博会場から県内への交通手段として鉄道やバス、クルーズ船、ヘリコプターのほか「空飛ぶ自動車」も検討しているとした。

 また、自民党の2025年大阪・関西万博誘致推進本部の本部長を務める二階俊博衆院議員が基調講演し「将来を担う子どもたちのためにも必ず、成功させなければならないという強い決意の下に、皆で立ち上がろうではありませんか」と呼びかけた。その上で「海外の子どもたちを万博に招待する基金をつくりたい」と述べ「県民が温かい気持ちでお迎えすることが、子や孫の将来につながる。万博の交流は、何倍、何十倍もの効果を得る」と話した。

 「2025年日本国際博覧会協会」の石毛博行事務総長も、講演で大阪・関西万博の概要を説明。「世界に向けて、日本の魅力や文化を発信する絶好の機会になる」と成功に向けた協力を呼びかけた。

 シンポジウムでは、県と県商工会議所連合会、県商工会連合会を中心に関係機関とつくる協議会の設置を決めた。

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