中古太陽光パネル EV充電再活用 樹昇(宮崎市)

無料開放を始めた電気自動車の充電ステーション=宮崎市高岡町の樹昇本社(同社提供)

 太陽光発電システム販売や施工管理を手掛ける樹昇(きしょう、宮崎市高岡町、高橋利光社長)は今月から、中古の太陽光パネルを活用した電気自動車(EV)充電ステーションを無料開放している。固定価格買取制度(FIT)開始から10年を迎えパネルの廃棄が課題となる中で、同社は「パネル再活用の手法として知ってもらえれば」と話している。
 充電ステーションは、同社本社の一角に設置。晴天など発電が見込める平日午前10時~午後3時に利用できる。カーポートに載せた25枚の中古パネルで発電した電力を充電スタンドに送る。スタンドの出力性能は6キロワットのため、パネル発電だけで賄えない分は、再生可能エネルギー発電などを手掛けるUPDATER(東京)から再エネ由来電力の供給を受ける予定。
 樹昇によると、パネルの発電効率はFIT開始当初の2倍超。取り換え需要の高まりで3年ほど前から同社にも大量の中古パネルが集まってきたが、産業廃棄物として処分せざるを得なかったという。
 循環型社会構築に向けて「5R」の考え方が浸透しつつある中で、従業員が壊れた器具を修理して活用するリペア(修理)に取り組んでいることに着目し、パネルのリユース(再利用)を検討。高橋秀明常務は「中古パネルは発電量は落ちるが、まだ使える」と従業員とパネルを洗浄。国が普及を促すEVの充電ステーション設置に活路を見いだした。
 再エネ発電が増加する日中にEV充電を実施し、電力需要をコントロールできれば「電力会社が出力抑制をせざるを得ない現状の改善につながるかもしれない」と高橋常務。その上で「使えるパネルを無駄にせず、脱炭素社会の実現に貢献できる自社の取り組みを通じて、少しの工夫で環境保護に貢献できることに気付いてもらいたい」と話している。

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