箱根登山鉄道の脇役に脚光 貨物電車モニ1形、初の見学会

箱根登山鉄道のレール保守作業に活躍するモニ1形=小田原市入生田の車両基地

 線路の保守作業に使われる箱根登山鉄道の貨物電車モニ1形の見学会が4月30日、入生田車両基地(小田原市入生田)で初めて行われた。日頃は間近に見ることのできない登山鉄道の脇役に鉄道ファンらが熱い視線を向けた。

 モニ1形は1975年に製造され、レールや枕木、線路用砂利などを車両に搭載したクレーンからつり上げて運搬する保守作業用の貨物電車。夜間作業の仕事がほとんどで日中は強羅駅の片隅でひっそりと休んでいることが多く、これまで観光客らが物珍しそうに遠目から写真を撮ることも多かったことから見学会企画のきっかけとなった。

 2月に見学会の予約を開始したところ即完売し、4月に追加販売したところこれも1分足らずで売り切れた。計約40人が参加したこの日の見学会では、鉄道職員が「車で入っていけないような山の奥までモニなら資材を運べる」と解説。普段は見ることのできない車両の床下や屋根の機材も見学でき、実際に乗車した鉄道ファンは部品の一つ一つに興味津々でカメラのシャッターを切っていた。

 兵庫県から参加したという男性(43)は「全国の車両基地を見学するのが好き。こういう機会でしか見られない作業車を触ることができてよかった」と興奮気味。同鉄道担当者は「日頃は注目されない現場の作業員の姿にもスポットライトが当たるきっかけになってほしい」と話した。

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