剣道男子 四位一体の明豊、全国高校選抜で悲願の日本一

3月末に開催された全国高校剣道選抜大会(愛知県)の男子団体で、悲願の日本一に輝いた明豊。創部から6年という異例のスピードで頂点へと駆け上がり、名実ともに「名門校」の仲間入りを果たした。

岩本貴光総監督が「29年間の教員生活の中で一番力のある選手がそろっている」と言わしめる現チームが狙っていたのは、日本一のみ。いつも通りの実力を出し切れば必ず勝てるという確信もあった。実際危なげなく勝ち上がり、代表選にもつれこんだ決勝の九州学院(熊本)戦も児玉一輝(3年)が冷静に対処し、明豊のスタイルを体現した「捨て切った技で一本を取る剣道」で見事な勝利を収めた。「(試合当日の)児玉は、体のキレ、打突のスピード、力などがずばぬけていた。打たれる気がしなかった」。そんな岩本総監督の言葉からも当時の勢いが伝わってくる。

日本一へ向けて「何をすべきか」がより明確になったのは、全国3位となった昨年の全国高校総体。準決勝で九州学院に大敗して悔し涙をのんだが、その負けは大きな財産になった。「(全国高校総体は)打突の機会はうちの方が多かったが、技で負けた。つまり技を磨けば、追いつけるし追い越せる。やるべきことが明確になった」(岩本総監督)。そこから約8カ月できっちり仕上がったのは、選手たちのたゆまぬ努力の結果に他ならない。

もちろん、選手の自力や努力だけで日本一に届いた訳ではない。「この子たちの代をなんとしても日本一にさせる」という強い信念を持って選手と向き合ってきた指導者、慢心することなく心身共に鍛え上げてきた選手、応援してくれた地域の人や保護者、そしてあらゆる面でサポートした学校。三位一体ならぬ、四位一体となったからこそ、追い風が吹いたという。

創部から6年で悲願の日本一に輝いた明豊

「今大会で大分勢が日本一になったのは初めて。一生懸命一途な気持ちで取り組めば頂点に届くということを選手たちが体現してくれた。本人たちにとって大きな自信となったし、後輩たちにも必ずつながることだと思う。本当によくやってくれた」と選手たちをたたえ、日本一になったことの意味を語った岩本総監督だが、ここで立ち止まるつもりはない。

現チームが最終目標に定めるのは、全国高校総体での優勝。児玉は「目標としていた日本一を達成することができてうれしいが、全国高校総体が本番だと思っている。夏はどこのチームも実力をつけて接戦になると思うので、全学年協力して良いチームづくりをしていきたい」、正木蓮(3年)は「全国高校総体で優勝するためにはチーム一丸となって、人間的にも一流のチームになることが大切だと思う」と話し、油断することも、慢心することもない。

今大会で手にした自信と、変わらぬ謙虚な姿勢、そして四位一体を武器に、さらなる高みへかけ上がろうとしている。

写真はすべて、撮影のためにマスクを外しています

主力として優勝に貢献した正木蓮(左)と児玉一輝(右)

(甲斐理恵)

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