ロボアドと投資信託、どちらを選ぶべき?メリット・デメリットと手数料の考え方

投資になじみのない人でも気軽に投資を始めることができるサービスに、「ロボアドバイザー(ロボアド)」や「投資信託」があります。

しかし、ロボアドも投資信託も、仕組みを知らずに使うと思わぬリスクを負ってしまいます。

自分にあった投資法を選べるよう、それぞれの特徴やメリット・デメリットを解説します。


ロボアドと投資信託はどう違うのか

ロボアドとは、ウェブページの質問に答えるだけで、自動的に自分に合ったポートフォリオ(投資信託やETFの組み合わせ)を示して、売買や管理などもしてくれる、テーラーメイドのサービスです。ポートフォリオの状況のチェックや微調整などを、ウェブサイトやアプリで行うこともできます。

ロボアドでは、数問の質問に答えると、その人に合わせた投資信託と資産の配分割合(アセットアロケーション)などを示してくれます。ほぼすべてを自動的に行ってくれるので投資に費やす手間暇を大きく削減することができます。手数料は運用資産額の1%程度となっています。

一方、投資信託とは投資家から集めた資金をひとまとめにし、運用のプロが国内外の株式や債券などに分散投資を行い、その投資成果を投資家に分配するものです。インデックス型、バランス型、アクティブ型の3種類があります。

ロボアドと同じようなことが、バランス型の投資信託を使っても行えます。こちらはアセットアロケーションがあらかじめセットされているので、ロボアドのような微調整はできないレディメイドの商品といえます。信託報酬といわれる投資期間中必ずかかる手数料は、0.1%から2%程度となっています。

ロボアドにはアドバイス型と投資一任型がある

ロボアドにはアドバイス型と投資一任型の2種類があります。アドバイス型はポートフォリオを提示してくれるだけです。投資一任型はそれに加え、投資信託やETFの購入、相場の変動に伴って変化した投資配分の比率を当初の配分比率に戻す「リバランス」なども行ってくれます。ただし、アドバイス型にも購入の指示やリバランスなどはウェブページやアプリなどから、ほぼボタン一つで行うことができるサービスもあります。

投資一任型とアドバイス型の最も大きな違いは、手数料です。投資一任型は運用資産額の1%程度であるのに対して、アドバイス型は無料(※)です。なお、投資一任型の手数料の中に購入時の手数料や信託報酬が含まれているものと、含まれないものがあるので、確認する必要があります。
※購入時の手数料や信託報酬はかかります。

ロボアドのアドバイスは自分に合わせて調整することもできる

典型的なロボアドでは、質問に対する答えに基づいて、その人に最適なポートフォリオを提示しますが、ロボアドはどのようにして利用者に合ったポートフォリオを提案してくるのでしょうか?ポートフォリオの提案には2段階の手順があります。

(1)プロファイリング

利用者はまず、年齢、年収、保有資産額、資産運用の目的、リスクについての考え方など、5~10問程度の質問に答えます。この質問によって、どの程度までの投資リスクの負担が適切かを判定します。

(2)ポートフォリオ選択

(1)で判定したリスクを負担しながら、その中で極力期待リターンが高くなるようなポートフォリオを構築します。こうしてできた最適ポートフォリオを提示しているのです。

ロボアドは、AI(人工知能)が人間のファンドマネージャーにかわって高いリターンを狙って資産運用してくれると思っている方もおられます。しかし現状ほとんどのロボアドは、人間の作ったポートフォリオ理論に基づいてリスクをAIが最適化するサービスとなっています。正しく理解して、自分に合っているかどうかを判断したうえで活用してください。

ロボアドではインデックス型投資信託・ETFを組み合わせる

一般的にロボアドに使われているのは、インデックス型の投資信託です。
インデックス型の投資信託というのは、日経平均株価やS&P500のようなインデックスとそのファンドの基準価格が連動することを目指して運用する投資信託を指します。

また、ETFとは証券取引所に上場された投資信託のことです。ロボアドで一般的に使われるETFはインデックス型のものです。
一般的なロボアドでは、このインデックス型の投資信託・ETFを組み合わせます。

最適ポートフォリオを選択するもとになっているデータは、過去のデータと将来の見通しに基づくものです。そのため、将来の投資成果が約束されているわけではありません。

さらに、提案ポートフォリオを構成するのは、ロボアドサービスを通じて売買できる投資信託・ETFのみです。現存する全ての投資信託・ETFから選択しているわけではないので、注意が必要です。少なくとも使われている投資信託・ETFはどのようなもので、その手数料は適正なのか購入前に確認してください。

ロボアドと同じような資産運用するのがバランス型投資信託

ロボアドと同じような資産運用を1つのバランス型の投資信託でも行うことができます。バランス型の投資信託は、さまざまなインデックスに連動する投資信託が予めセットになって組み込まれている投資信託、と考えればわかりやすいでしょう。

選ぶ際のポイントは、どのようなインデックスに連動したものが、どのような割合で配分されているのかと、過去の実績の推移です。また、購入時の手数料と保有期間中ずっとかかる信託報酬についても確認しておきます。最近では、購入時の手数料が無料の投資信託(ノーロード型)も増えてきています。

どのようなインデックスに連動するものを、どのような割合で配分するのかによってさまざまなタイプのものがあるので、その中から自分で選ぶのにはある程度の知識が必要となります。選ぶ知識がないまま投資してしまうと、投資リスクの負担など許容範囲とかけ離れたポートフォリオになってしまう可能性があります。自分で選択できる自信のない場合は、投資に詳しいアドバイザーに相談するとよいでしょう。

どちらを選ぶべきか

ロボアドであれば、難しいアセットアロケーションや面倒なリバランスなどをほぼ自動的に行ってくれます。自分で投資信託を選ぶのはハードルが高いという方には、一つの選択肢となるでしょう。アドバイス型は無料ですが、一任型では約1%の手数料が掛かります。

一方、バランス型の投資信託はアセットアロケーションを自分に合わせて細かく行うことはできず、既製のものの中から最も自分に合っていると思うものを選ぶこととなります。しかし、手数料の安いものを選ぶこともできます。

ロボアドも投資信託もそれぞれメリット、デメリットがあります。ここでお伝えしたポイントを参考に、あなたに合ったものを選んでいただければと思います。

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