戦争の記憶、捕虜通じ描く 元釜石収容所長の祖父手記も収録 宇都宮出身・小暮さん

祖父との連名で著書を出版した小暮さん=28日午後、宇都宮市内

 宇都宮市出身で、雑誌「ニューズウィーク日本版」の記者小暮聡子(こぐれさとこ)さん(41)が30日までに、亡き祖父との共著「降伏の時 元釜石捕虜収容所長から孫への遺言」を出版した。太平洋戦争後、戦犯となった祖父の手記と回想録に、アメリカ人元捕虜らへの小暮さんの取材記などを加えて1冊にまとめた。「戦争の記憶は、複眼的に見ることが大切だ」と説く。

 祖父稲木誠(いなきまこと)さんは戦時中、岩手県釜石市の捕虜収容所長だった。戦後は戦犯として捕らえられ、戦争犯罪者の収容施設「巣鴨プリズン」で約5年半拘置された。

 手記は、終戦から捕虜を引き渡すまでの約1カ月間の混乱の日々を、苦悩と共に克明に記した内容で、稲木さんが約40年前に残していた。そのタイトルが「降伏の時」だった。

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