波佐見焼のアウトドア調理器具 藍染窯が長崎県窯業技術センターと開発 鉄製よりも手入れ簡単

陶器の特性を生かしたアウトドア調理器具=波佐見町、藍染窯

 長崎県東彼波佐見町湯無田郷の窯元、藍染(あいぜん)窯は土鍋を現代風にアレンジしたアウトドア調理器具を県窯業技術センター(同町稗木場郷)と共同開発した。鉄製の鍋と比べ、手入れが簡単な陶器の特性を生かした。
 ふた付きの鉄鍋「ダッチオーブン」に代表される鉄製の調理器具は、煮込みをはじめ幅広い料理がつくれることで、近年のキャンプブームもあり人気。しかし、使用後の手入れが欠かせず一般的に洗剤で洗えないなどの制約がある。
 今回、同窯とセンターが開発した商品は陶器製の2種類。「土鍋スキレット ソロ」(5280円)は、米1合を炊くことができ、個人でキャンプを楽しむ「ソロキャンプ」向き。もう一つは、肉、野菜を焼く「陶板グリル ソロ」(2640円)。商品シリーズ名は野外でも家庭でも使ってもらおうと、ハイキングとホームを掛け合わせた「hime(ハイム)」と名付けた。

土鍋スキレットと陶板グリルを使ったキャンプ料理。じか火にかけることができ、蓄熱性も高いという(藍染窯提供)

 いずれも、じか火で使える陶磁器のJIS規格をクリア。蓄熱性もあり野外調理後も冷めにくい。電子レンジや食器洗い乾燥機が使えるなど、鉄製に比べ使い勝手を向上させた。丸みを持たせた形で強度を持たせ、購入後1年間は、割れた場合は交換できるようにした。
 藍染窯とセンターの担当者は昨年春、開発に着手。試作品を持ってキャンプに出かけたり、自宅で使ったりして改善を重ねた。同窯のアシスタントディレクター、吉田萌生さん(26)は「金属製は色が限られるが、陶器だと色のバリエーションが増える。特性を生かした商品を今後も出したい」。デザインを担当した県窯業技術センターの依田慎二専門研究員は「キャンプ好きなので楽しみながら取り組んだ。窯業に限らず県内の企業をサポートできれば」と話している。
 商品は4月に東京や福岡のアウトドア見本市に出展。波佐見陶器まつり期間(5日まで)は窯元で販売している。


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