箏奏者、和の音色で「紅蓮華」弾いてみた 人気動画は700万回再生、後藤礼奈さん「箏はきれいで格好いい」

「箏を弾く人を増やしたい」と意気込む後藤礼奈さん=福井県鯖江市

 人気アニメの主題歌「紅蓮華」、流行語にもなったヒット曲「うっせぇわ」、ボカロソング「千本桜」…。「箏(こと)ってなんでも弾けるんですよ。きれいで格好いいっていうイメージをみんなと共有したいなあ」。力強い瞳で熱っぽく語る後藤礼奈さん(26)=福井県鯖江市=は、2018年ごろから和楽器用の楽譜を作り箏を演奏、会員制交流サイト(SNS)に動画を投稿している。

 箏の絃は「柱(じ)」と呼ばれる器具に支えられ、一般的には柱の右側をつま弾く。「激しいポップソングを表現するのは難しそうだけど弾いてみたい」。意欲にかき立てられ編み出したのが、左側の絃が奏でる低い音をアクセントにメリハリをつけるスタイルだ。

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 右手で速さや力加減に緩急をつけ、左手で高低を調節。体を揺らしながら激しく弾く姿は、まるでロックミュージシャン。「実は得意なんです」と話す動画編集やホームページ作成も、スマートフォンを駆使しお手の物。凜とした奥深い音色は外国人視聴者の心も奪い、人気の動画は再生700万回を超えた。

 祖母も母も箏の指導者で、幼い頃から当たり前にある楽器だった。だが同年代には古くさいと思われ悔しがる。「弾く人を一人でも多く増やそう」。箏の可能性を見つけ広げていくことが目標になった。コロナ禍による外出自粛の中、音色に癒やされたという感想が届き、「やっていて良かった」と実感。演奏会中止が相次いだものの、教室の生徒数は増えた。

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 しとやかで優雅な日本の伝統音楽という概念を覆す後藤さんからは、演奏が楽しくてたまらないという気持ちがあふれ出ている。「自分が楽しまないと、伝わるものも伝わらないじゃないですか」。笑顔がひときわ輝いた。

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