「始め方や詐欺にあわないためには、どうしたらいいの?」馬渕磨理子が投資の大原則を解説

経済アナリストの馬渕磨理子です。

資産運用の必要性を感じ、投資を始めようと思ったものの「どうやってはじめたらいいの?」と思っている方もいらっしゃるでしょう。講演などをしていると、20代の方からは「投資詐欺にあわないためにはどうしたらいいの?」という質問も多く受けます。

今回は投資をどうやって始めたらいいのか、投資の大原則、いくらから投資を始めることができるのかお話しします。


そもそも、どこで取引するのか?

株式投資を始めるためには、まず証券会社で「証券口座」と呼ばれる口座の開設が必要です。わざわざ、この話をする理由があります。世の中には証券会社やFX会社以外に、“よく分からない人・企業”が投資を勧めてくることがあります。基本的にそういったところでの投資はしないでください。投資詐欺に合う確率が非常に高いです。

国からの免許・許可・登録等を受けている企業の中で口座開設をし、その中で取引できる銘柄や商品を投資対象として選びます。証券会社の口座内で投資する範囲であれば、詐欺に合うことはあり得ません。

「口座開設って、時間がかかって大変そう」と感じるかもしれませんが、ネット証券であれば自宅から無料で開設できますし、売買手数料が安いです。口座開設後も、時間や場所を気にせず取引できます。

投資の大原則を知る

投資を始める時に覚えておきたい、投資の大原則である「長期投資」「分散投資」「積立投資」をそれぞれ解説します。

長期投資

短期売買では手元資金が2倍、3倍に、時には10倍といったことも起こり得ますが、短期間で手元資金がゼロ、またはマイナスになることもあります。長期投資は、短期間で売買を繰り返すのではなく、長期にわたって金融商品をそのまま持ち続ける投資のことです。

投資した商品を長く保有することによって、投資の平均収益率は安定していく傾向にあります。2倍、3倍といった感覚ではなく、例えば、年3%の利回りで複利(配当などの運用で得られた利益の再投資)の力を利用すれば、老後に必要な資金を作ることができます。

分散投資

資産形成を考える上で「分散投資」も重要です。分散投資は大きなリターンを得ることではなく、大きく負けないことが目的となります。そのために、「資産・銘柄」の分散、「地域」の分散、投資する「時間」をずらします。すべての資金をひとつの金融資産に集中させると、もし運用がうまくいかなかった場合は資産全体にマイナスの影響が及ぶため、値動きの異なる複数の資産に分散させることで、リスクを分散させます。

さらに、異なる状況にある地域の資産、通貨を組み合わせることで、災害や政治的なリスクの分散に有効です。また、金融商品は値動きがあるため、一度に多額の投資を行うのではなく、投資のタイミングをずらすことで、価格変動を平均化する効果が期待できます。

積み立て投資

積み立て投資は毎月、一定額を淡々と購入する投資法です。有望株を探し出す技術や売買のタイミングを迷う必要がない投資です。ここで、長期間の積み立て投資をした場合の効果を見てみましょう。たとえば、月3万円20年間の積み立て投資をした場合、利回りが年率3.14%を超えていれば1,000万円貯まることになります。もし、同じ条件で投資期間を30年とすると、月々1万6,000円で1,000万円貯まることになります。

老後の資産形成を考えた場合、積み立て投資は早くスタートすればするほど「時間を味方」にすることができます。早めに少額投資で低リスク商品への投資準備を始めることで、リスクを抑えつつ、長期投資の効果を得ることができるのです。

どのくらいの資金からスタートすればいい?

投資は「無理のない範囲で」が合言葉です。自身の余裕資金で投資を行うことが大切ですので、実家暮らしの方や一人暮らしの方で、毎月の固定費も変わってきますので、投資できる金額にも差が出ます。参考までに、年収の10%を投資に回すと良いというデータがあります。

「長期投資」「分散投資」「積み立て投資」という投資の大原則をお伝えしましたが、より具体的な投資の方法を4つご紹介します。

毎月一定額を投資に回す「積み立て投資」

少額で長期間という視点で投資をすることが大切になります。特に積み立て投資は株の非課税制度と相性が良いので、長期的な資産形成をサポートしてくれる「つみたてNISA」や「iDeCo」といった税制優遇制度の利用をおすすめします。

企業の株価を買う「一般的な株式投資」

企業の株を買う場合、日本では100株単位での購入が基本となっています。例えば、株価1000円の株を購入する場合、1,000円×100株=10万円となります。株は1株あたり数百円から数千円のものが多いのですが、購入する銘柄の選択肢を広げるためにも、始める際は10万円前後を手元資金として用意しておきたいところです。

1株単位から購入できる「ミニ株」

一般的な株式投資のような、いきなり10万円も手元資金がないという方は、1株単位から購入できる「ミニ株(単元未満株)」もあります。なかには100円前後で購入できる銘柄もあるので、手元資金が少ない方にはオススメですが、ミニ株は株主優待をもらえない可能性もあり、取り扱いのある証券会社も限られるので、事前にしっかりと確認してください。

お買い物のポイントで「ポイント投資」

手元資金や給与から投資をはじめることにハードルの高さを感じる方は「ポイント投資」という手法もあります。クレジットカードでのお買い物で貯まったポイントや、ネットショッピングで貯まったポイントをそのまま投資に使えるサービスです。資金を支出せずに投資体験ができるので、初心者のに方もハードルは低いのではないでしょうか?


投資は自分の意志で、自分の未来を切り開いていく1つのツールです。例えば、自分の人生を豊かにする便利な「スマホ」があるにもかかわらず、好き嫌いで使用しなければ、様々なチャンスや機会を失い、時代に取り残され、情報格差、所得格差に繋がっていきます。

投資は「スマホ」と同じように、使いこなすことであなたの人生を豊かにしてくれるので、ぜひ一緒に使いこなすスキルを身につけていきましょう。

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