小田原で実質3年ぶりの「北條五代祭り」 コロナ拡大恐れ、来場者7割減を目標も…

3年ぶりの武者行列によるパレード=小田原城銅門広場

 実質的に3年ぶりとなる城下町・小田原の最大イベント「北條五代祭り」が3日、小田原城周辺で開催され、久々の武者行列も披露された。新型コロナウイルス感染者数が高止まりする中、主催の市観光協会は「第58回」の冠は表に出さず「北條五代 歴史と文化の祝典」と名を変え、来場者数を例年の3割まで減らす“戦略”を立てて臨んだ。誘客か人流抑制か、ジレンマを抱えた小田原城の“春の陣”の戦果は…。

 午前10時半から天守閣前で鉄砲隊の号砲とともに幕を開けた五代祭り。午前中は人数制限による式典とシンポジウムが粛々と行われ、午後の武者行列も例年の出陣式はなく静かに出立。2019年は俳優の合田雅吏さんや高嶋政伸さんらが観光客らに笑顔を振りまいたが、今年は早雲役として守屋輝彦市長が馬にまたがり、例年と比べると“華”はやや地味。例年1700人のパレードも今年は250人の少数精鋭で人が密集しそうな小田原駅前のルートは避けた。

 それでも陽気に誘われ人が押し寄せ、天守閣は正午前時点で入場40分待ちの行列。ふたを開ければ来場者数は想定の2倍を超す13万5千人となった。

 東京都内から家族で訪れた男性(78)は「イベントとは知らず久しぶりに都内から出たけどラッキーだった」と喜び、鎌倉市の女性(56)も「市民の手作り感があって親しみが持てる」と笑顔。地元住民の女性(35)は「五代祭りは地域の絆をつなげてくれる小田原のシンボル」と感慨深げにパレードを見守った。

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