<金口木舌>かみしめたい語録

 記者として駆け出しの頃、何度も記事の書き直しを指示された。原因は取材の事前準備が不足し焦点が定まっていないことが多かった。何が焦点で、どう質問していくか。準備の大切さは記者歴を重ねるごとに痛感した

▼「『予』を大切にせよ」。プロ野球4球団で監督を務めた故・野村克也さんは著書でこう述べた。「予」は予感、予測、予防などの熟語に使われる

▼「正しいプロセスを踏むとは、準備をすること、そなえることにほかならない」と記した野村さん。選手として戦後初の三冠王、監督として3度の日本一に輝いた功績は、準備を大切にすることが土台となった

▼1日に他界した元サッカー日本代表監督のイビチャ・オシムさんも数々の含蓄ある言葉を残した。選手に故障者が続出した際に言った「ライオンに襲われたウサギが逃げ出す時に肉離れをするのか。準備が足りないからだ」もその一つ

▼野村さん、オシムさんの言葉から多くの教訓を学べる。スポーツの枠にとどまらず、人生論にもつながる語録をあらためてかみしめたい。

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