剣道女子 全国高校選抜準Vの明豊、うれしさより悔しさ残る

全国高校剣道選抜大会(3月26〜28日・愛知県)の女子団体で、明豊が準優勝に輝いた。他校に比べ圧倒的に歴史の浅い明豊にとって、まさに快挙と言っても過言ではない。

準優勝の原動力になったのがチームワーク。ずばぬけた勝負感を持つ、キャプテンで大将の奥日菜乃(3年)に回して勝つスタイルが定着していたが、今回はチームバランスも大切にした。

岩本貴光総監督は奥に、「奥一人だけの頑張りで勝てるほど全国は甘くない。全員の輪を大切にして、一人一人きっちり仕事ができるようなチームづくりをするように」と課題を持たせたという。そこから積極的に部内ミーティングを行い、学年関係なく本音で話し合い、思いや目標を共有し、同じ方向を向いて稽古に励んできた。大会に出場した選手も、見守った選手も、全員が自分の役割を自覚し、気持ちを一つにして戦ったことが一番の勝因と言えるのかもしれない。

全国高校選抜大会で準優勝となった明豊

全国選抜の感想を聞けば「うれしかった」「家族や同級生がすごく喜んでくれた」「自信になった」と高校生らしい笑顔を見せた選手たちだが、口をそろえて「うれしさより悔しさが勝る」と言う。特に決勝の八代白百合(熊本)とは何度も練習試合をしており、決して勝てない相手ではなかった。敗因は、油断と甘さ。奥は「最後の最後で自分たちがこれまでやってきたことができなかった。日々の生活や稽古の中での甘さが出てしまった」と振り返り、先鋒としてチームの流れを作った芦田敬子(3年)は「一人一人がもう少し自覚、責任を持って行動するべきだった。日常生活、学校生活、稽古の取り組み方を考え直す必要がある」と反省を口にした。

しかし、今大会では、「これまでやってきたことは間違いなかったという確固たる自信」や「日本一へ駆け上がるために克服すべき課題」など得たものの方がはるかに大きい。今後は全国高校総体に向けて油断、慢心を捨て、“日本一になれなかった原因”を突き詰めながらチーム力の底上げを目指す。

男子の日本一を目の当たりにして、「女子も日本一」「アベック優勝」という目標がより明確になった彼女たちが飛躍する日も近い。

全国高校総体で「日本一を目指す」と誓った奥日菜乃(右)と芦田敬子

写真はすべて、撮影のためにマスクを外しています

(甲斐理恵)

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