犯罪被害者支援具体化へ 茨城県条例施行 負担軽減や人材育成

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被害者の支援や理解促進を図るための刊行物

犯罪被害者の負担軽減や、中傷などの二次被害防止を盛り込んだ「茨城県犯罪被害者等支援条例」が3月の県議会で議員提案され、成立、施行された。今後は具体的な方策を定める基本計画をつくる見通しで、制定済みの他自治体では見舞金制度の創設や官民連携の調整会議設置を定めている。茨城県ではさらに性犯罪対策を条例化する動きもあり、県などは、条例制定を機に施策の整備と周知に息長く取り組む構えだ。

■2年で倍増

被害者支援を巡っては近年、全国の都道府県で支援に特化した条例を制定する動きが急速に進む。国の犯罪被害者白書によると、都道府県の制定は、2019年4月に17道府県だったのが20年4月に21都道府県、21年4月に32都道府県と、2年間で2倍近くになった。

隣県では千葉県が昨年4月に県条例を施行した。同県によると、有識者会議を経て今年3月に計画を策定。被害者への見舞金制度を設け、千葉県弁護士会と連携した無料相談の実施を定めた。

見舞金は千葉県在住の被害者本人や遺族が対象。犯罪で被害者が亡くなった場合、遺族には一律30万円を支給する。犯罪によるけがで1カ月以上の治療期間を要し、3日以上入院した被害者には10万円を支給する。本年度の予算に1千万円を計上し、既に数件の相談を受けているという。

同県内では成田市なども、条例で傷害支援金や遺族支援金を設けている。同県によると、市町村の支援金を受けた人が、県の見舞金を受け取ることも可能だ。同県くらし安全推進課の担当者は「国の給付金制度もあるが、給付されるまでに1年以上かかることもある。必要な方にできる限り早く対応したい」と説明する。

■今後の根幹

茨城県でも、常陸大宮市や潮来市などが見舞金支給を定める。民間団体のいばらき被害者支援センター(水戸市)などによると、条例制定を機に見舞金制度を設けた自治体は多いという。

被害者は突然の犯罪に巻き込まれ、心身の治療が必要な場合もあれば、司法手続きでの負担もある。県条例では、被害者の心身の回復や経済的負担の軽減、支援者の人材育成を盛り込んだ。

条例化を主導した県議会会派、いばらき自民党のプロジェクトチーム座長、星田弘司県議は「県条例は今後の支援への根幹」と話す。

被害者支援条例に続き、性犯罪対策を条例化する動きも出ている。県生活文化課の担当者は「必要な施策を慎重に検討し、全力で当たりたい」と語る。

■輪を広げて

いばらき被害者支援センターは、捜査機関による聴取への付き添いや、代理での裁判傍聴に取り組む。人材の充実が課題で、登録する支援員は37人いるものの、実働は半数以下で、全員が非常勤という。

聴取では、被害者から「事件の全部は覚えていない」「あれで良かったのだろうか」などと、不安の声も出る。森田ひろみ事務局長は「同じ生活圏にいる人がそばにいることが重要」と指摘する。

同センターは本年度も、5月13日から支援員の養成講座を開く。県条例の施行を踏まえ、支援に弾みをつけていきたい考えだ。森田事務局長は「被害者の調整会議などを通し、協力し合って被害者を助けたい。市町村にも支援の輪が広がってほしい」と期待した。

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