横須賀に「みんなの軽音部」 部室は飲食店、プロも共鳴 部活代わりにサポート

プロの演奏家や地域の大人から楽器の演奏を学ぶ中高生ら=横須賀市久里浜の「ダイニングバーたねや」

 神奈川県横須賀市内の飲食店の経営者らが小中高生なら誰でも参加できる軽音楽部「NPOみんなの軽音部」を立ち上げ、会場と楽器を用意して無償で演奏を教える取り組みを4月から始めた。教師の過重労働が社会問題となっていることから、学校の部活動の代わりに地域で子どもたちの音楽活動を支える狙い。週1回の活動日にはプロのドラマーやギタリストが講師となり、参加者は熱心に練習している。

 毎週水曜の午後3時過ぎ、同市久里浜の飲食店「ダイニングバーたねや」のステージには学校を終えた生徒らが集まってくる。この日、初心者ばかりの中高生6人を待っていたのは8人もの講師陣だった。

 「スティックはこう持つと打ちやすいよ」。海外でも活躍する同市出身で川崎市在住のジャズドラマー力武誠さん(48)がドラムをたたくと「自分たちと音が違う」と歓声が上がった。

 隣では横須賀市在住のギタリスト大木孝志さん(69)が中学生と一緒に人気アーティストの曲をギターで演奏。リズムの取り方、ピックの使い方を詳しく教えていた。講師にはプロだけではなく、腕に覚えがあるアマチュアらの姿も。講師陣で即興演奏を披露すると、ギターとドラムの練習をしている中学3年生の三富沙藍さん(14)は「1人で練習するよりもずっと楽しい」と顔をほころばせた。

 活動を発案したのは、同店の代表を務める荒谷アトムさん(45)。理事長としてボーカルやギターの指導を担当し、開店前の店舗を部室として提供している。

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