<レスリング>2026年コモンウエルス大会の実施競技にレスリング入らず

 

2018年コモンウエルス大会を制したリオデジャネイロ女王のエリカ・ウィーブ(カナダ)。英連邦国のレスリング振興がピンチを迎えた

 コモンウエルスゲームズ連盟(CGF)は 2026年大会をオーストラリア・ビクトリア州で開催することを決め、実施種目を発表した。現段階でレスリング競技が入っていないことが分かった。同連盟は「今後、追加競技がある」としているが、インドのメディアによると、インドはこの決定に強く抗議することとし、世界レスリング連盟(UWW)に働きかけて復活を求めるという。

 同大会は英連邦の国や地域で4年に1度実施される総合競技大会。レスリングは1930年の第1回大会から男子フリースタイルが実施され、1998年クアラルンプール(マレーシア)大会と2006年メルボルン大会(オーストラリア)では実施から外れた。

 しかし、2010年デリー大会(インド)で男子グレコローマンと女子がともに初実施され、3スタイルで復活。このとき、女子55kg級で優勝したジータ・フォガトの優勝までのサクセス・ストーリーは、インドにおける女子レスリングの発展として映画化され、インドのみならず中国でも大ヒット。日本でも2018年に上映された(関連記事)。

 男子グレコローマンはこの1大会のみで終わったが、2014年グラスゴー大会(スコットランド)から2スタイルで継続。今年は英国・バーンガムで男子フリースタイルと女子が予定されている。

 前回の2018年ゴールドコースト大会(オーストラリア)では、男子でバジラン・プニア(インド=フリースタイル65kg級)、女子で2016年リオデジャネイロ・オリンピック優勝のエリカ・ウィーブ(カナダ=76kg級)が勝ち、ビネシュ・フォガト(インド=53kg級)オデュナヨ・アデクロイェ(ナイジェリア=57kg級)らが優勝。世界トップへの足がかりとしていた。

 大会規定では、陸上や水泳など10種目は必ず実施することになっており、レスリングは開催国の意向を受けて実施される追加競技。したがって規定に反することではないが、同地域のレスリング振興に貢献してきた大会で実施されないのは、世界のレスリング界にとっては好ましいことではあるまい。

 インド協会は「2006年大会でレスリングが実施されなかったときは、FILA(現UWW)が動いてくれ、2010年大会での復活につながった」とし、今回もUWWのアシストを期待している。

 英連邦は、イギリスと旧イギリス領植民地から独立した54ヶ国で構成される国家グループ。主なレスリング実施国としてインド、パキスタン、カナダ、英国、オーストラリア、ナイジェリアなどがある。

 

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