あらゆる記録メディアを完全物理破壊する国産メディアシュレッダー 不完全な消去による情報漏えいリスクに対応

細断ではなく粉砕によって硬い記憶媒体も物理破壊するマルチメディアシュレッダー(4月7日東京ビッグサイト「Japan IT Week春」で本紙撮影)

粉砕機メーカーの晃立工業(岡山県津山市、福廣匡倫社長)は、データ消去の不備による機密漏えいを防ぐため、さまざまな記録メディアを物理的に破壊するマルチメディアシュレッダー「マイティセキュリティーシリーズ」を開発・販売。中央省庁や地方自治体など、政府・行政機関を中心に導入実績を伸ばしている。

これまでのメディアシュレッダーとは違い、高速回転するハンマーの打撃によって記録メディアを叩き割る仕組み。SSD、ICチップ・カード、CD・DVD、USBメモリなどのほか磁気テープ、HDDなど、従来は対応できなかったメディアも破壊できる。「ロストル」と呼ぶパンチ穴スクリーンのサイズとハンマー形状、ハンマーの回転速度の組み合わせにより、幅広い記録メディアに対応し、また粉砕サイズを自在に調整することが可能だ。

2019年、神奈川県の廃棄HDDが不正に転売されて情報が流出する事件が発生。総務省は翌年「地方公共団体における情報セキュリティポリシーに関するガイドライン」を改定し、情報の機密度合いに応じたデータの消去とその確実な履行を担保する方法を規定した。

ただ、現時点では、完全な消去方法は存在しないのが実情だ。一般的に用いられる上書き消去や磁気消去は適用対象・条件が限られるうえ、データ抹消の目視確認が難しいためコンピューター上の照合作業が不可欠。信頼性が高いとされる物理破壊も直接データを消すわけではないため、記録メディアのダメージが小さいとアクセスの可能性を残してしまう。

そのため同社は、情報先進国のアメリカやドイツなどの規格を参考に粉砕サイズなどの機能を設計。鉱山砕石機械の開発で培った粉砕技術を活用し、欧米メーカー製のメディアシュレッダーによる細断サイズを大幅に上まわる粉々の状態まで破壊可能なシュレッダーの開発を実現した。記録メディアによっては最小2ミリ以下まで砕くことができる。

処理速度は、USBメモリであれば1個当たり約1.2秒(φ15ミリロストル)、HDD2.5インチであれば2個当たり約20秒(φ50ミリロストル)、SSⅮ2.5インチであれば1個当たり約15秒(φ15ミリロストル)。同社は機密データのセキュリティーレベルや記録メディアの種類、希望破壊サイズ、使用方法・頻度などに応じて数タイプのメディアシュレッダーを販売するほか、顧客の敷地内や立会いの下での受託処理の相談にも応じる。

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リスク対策.com 編集部

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