スペースX、有人宇宙飛行「Crew-4」の打ち上げとISSドッキングに成功 　宇宙船は「Freedom（自由）」と命名

アメリカ航空宇宙局（NASA）とスペースXは、現地時間2022年4月27日、有人宇宙船「クルードラゴン」の打ち上げに成功しました。このミッションは「Crew-4」と呼ばれており、搭乗した4名の宇宙飛行士は2022年9月頃まで国際宇宙ステーション（ISS）に滞在する予定です。宇宙船は、飛行士によって「Freedom（自由）」号と名付けられました。

【▲ Crew-4の飛行士をのせてケネディ宇宙センター39A射点から打ち上げられたファルコン9ロケット （Credit: NASA/Aubrey Gemignani）】

米国東部夏時間2022年4月27日3時52分、フロリダ州にあるケネディ宇宙センター39A射点から、クルードラゴン宇宙船をのせた「ファルコン9」ロケットが打ち上げられました。使用されたファルコン9ロケットの第1段機体は今回が4回目の飛行で、2021年11月11日に実施された有人宇宙飛行ミッション「Crew-3」の打ち上げにも用いられました。

打ち上げから12分後、宇宙船は無事に所定の軌道へ投入されました。そして打ち上げと同じ日の19時37分、ISS「ハーモニー」モジュールへの自動ドッキングに成功しました。Crew-4の4人の飛行士は、2022年9月まで約6ヶ月間ISSに長期滞在し、科学実験や医学実験などを行った後、地球へ帰還する予定です。なお、今回はクルードラゴン宇宙船にとって5回目の有人飛行成功（有人試験飛行ミッション「Demo-2」を含む）となりました。

【▲ ISSにドッキングしたクルードラゴン宇宙船「Freedom」号（Credit: NASA）】

今回搭乗した4人の飛行士を紹介します。コマンダーを務めるチェル・リングリン飛行士、パイロットを務めるボブ・ハインズ飛行士、ミッションスペシャリストを務めるジェシカ・ワトキンス飛行士と欧州宇宙機関（ESA）のサマンサ・クリストフォレッティ飛行士です。

【▲ クルードラゴン船内で打ち上げに向けて試験を行う4人の飛行士。左からジェシカ・ワトキンス飛行士、ボブ・ハインズ飛行士、チェル・リングリン飛行士、サマンサ・クリストフォレッティ飛行士（Credit: NASA/SpaceX）】

チェル・リングリン飛行士は、台湾で生まれて、アメリカとイギリスで育ちました。医学博士号を持っており、2007年からNASAで勤務をはじめ、フライトサージャンとして飛行士の訓練を担当してきました。2009年にNASAの宇宙飛行士候補者に選抜されました。当時、第20期NASA宇宙飛行士クラスではJAXAの油井亀美也飛行士と同期でした。2015年には、第44／45長期滞在でISSに油井飛行士と一緒に滞在しています。今回が2回目の宇宙飛行となります。

ボブ・ハインズ飛行士は、アメリカ・ノースカロライナ州生まれで、飛行機のテストパイロットとして活躍。2007年に候補者に選抜されました。NASAのジョンソン宇宙センターで研究パイロットを務めた経験もあります。今回が初の宇宙飛行です。

ジェシカ・ワトキンス飛行士は、コロラド州出身。地質学博士として、カルフォルニア工科大学博士研究員になりました。NASAの火星探査ローバー「キュリオシティ」の共同研究をしていました。宇宙へ行くのは今回が初めてです。

サマンサ・クリストフォレッティ飛行士は、イタリア・ミラノ出身のESA宇宙飛行士です。2014年から2015年にかけて、第42/43次長期滞在クルーとしてISSに滞在しました。今回が2回目の宇宙飛行となります。

スペースXによる有人宇宙飛行は活発な状態です。Crew-4が打ち上げられる2日前には、初の民間主導ISS滞在ミッション「Ax-1」の飛行士4人をのせたクルードラゴン宇宙船「Endevour」号が地球へ帰還しました。また、現在ISSには2021年11月に打ち上げられた「Crew-3」の飛行士も滞在しており、クルードラゴン宇宙船「Endurance」号がドッキングされています。NASAによると、Crew-3の飛行士は2022年5月上旬に地球へ帰還する予定です。

【▲ 2022年4月28日現在、ISSに滞在中の宇宙船（Credit: NASA）】

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文／出口隼詩