テリー・ギリアムの単独長編監督デビュー作がよみがえる 「ジャバーウォッキー 4Kレストア版」公開決定

「未来世紀ブラジル」などのテリー・ギリアムが1977年に手掛けた単独初長編監督デビュー作「ジャバーウォッキー」が、「ジャバーウォッキー 4Kレストア版」として7月1日より劇場公開されることが決まった。

「ジャバーウォッキー 4Kレストア版」は、イギリスのコメディ集団「モンティ・パイソン」に唯一のアメリカ人アニメーターとして参加し、映画「未来世紀ブラジル」「バロン」などを世に送り出したテリー・ギリアムの単独長編監督デビュー作。ルイス・キャロルのナンセンス詩を基にした中世ファンタジック冒険コメディで、とある王国を舞台に凶暴な怪獣退治に巻き込まれた青年の活躍を、ブラックユーモア満載で描く。モンティ・パイソンのマイケル・ペイリンが主演を務めている。

日本では、1980年の劇場公開後、ビデオ発売されたのみでDVD化されていない。そのため、ファンの間では鑑賞の難しい“隠れた名作”となっていた。素材は劣化が進んでいたが、本作の大ファンであるマーティン・スコセッシとジョージ・ルーカスの出資により4Kレストアを実施。、テリー・ギリアム監督もスーパーバイザーとして携わっている。

テリー・ギリアムのコメントも公開された。公開されたコメントは以下の通り。

■テリー・ギリアム コメント

『ジャバーウォッキー』は、わたしにとって初めて“自分の作品”と呼べるものでした。
テリー・ジョーンズと共同監督した『モンティ・パイソン&ザ・ホーリー・グレイル』(75)の成功が、わたしにモンティ・パイソンから自由になる機会を与えてくれたのです。
ルイス・キャロルの詩「Jabberwocky」にあるナンセンスな言葉の数々がわたしの頭の中に奇妙で素晴らしいイメージを呼び起こし、それを映画にしたいと思いました。
そして、中世を説得力のある世界として作ることは、わたしにとって不可欠でした。観客に、老朽化した世界の匂いを感じてもらいたかったのです。貧しく貪欲な商人、強大な鎧をまとった騎士、混乱した王や、王国を脅かす恐ろしい怪獣がいて、傾いた古代の建造物があり、狂った宗教家もいる。世界の信憑性が高ければ高いほど、コメディとしての完成度も高くなると思っています。
ですが、この映画は単なるコメディとしてだけではなく、アクションやロマンスがあるものにしたいと思っていました。とは言え、ハッピーエンドのおとぎ話のように見えつつ、アイロニー(皮肉)はたっぷり込めています。
わたしの頭の中にしか存在しない世界を説得力のある形で表現する技術と能力を持ち、その結果として世界中の観客に喜びを与えることができる、自分は本物の映画監督だと信じ始めたのは、『ジャバーウォッキー』を振り返ったときだったと思います。
わたしが皆さんのために楽しんで作ったように、ご覧になる皆さんがこの作品を楽しんでくださることを願っています。

【作品情報】
ジャバーウォッキー 4Kレストア版
2022年7月1日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
配給:アンプラグド
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