「お試し住宅」で島原暮らしを体験 武家屋敷通りの民家活用、移住促進へ

武家屋敷通りの民家を活用したお試し住宅とコイが泳ぐ湧水庭園=島原市下の丁

 長崎県島原市は、城下町の風情を今に伝える武家屋敷通りの民家を活用し、市への移住希望者が一定期間、島原暮らしを体験できる「お試し住宅」を始めた。生活環境や豊かな自然を肌で感じてもらい、市への移住を促す狙い。3月末から受け付けを始め、北海道と広島県の計2世帯5人が今月中旬から体験入居する予定。
 都市部などからの若い世代の流入促進を目指した初の取り組み。利用対象は島原半島以外に居住し、市への移住を検討している人。
 観光名所の武家屋敷通り(下の丁)にある民家の所有者と市が賃貸契約を締結。民家は1960年築、約430平方メートルの敷地に立つ木造平屋(約76平方メートル)。間取りは6DK(和洋各3室)。家電や家具、調理器具、インターネット環境などを完備。屋外の庭園に湧水を引き込んだ池があり、水の都・島原の雰囲気を楽しめる。
 利用期間は1回につき3~14日。光熱費を含め無料だが、飲食費や交通費などは実費。利用希望日の2週間前までに市シティプロモーション課に所定の申込書などを提出する。
 同課によると、移住を促すお試し住宅があるのは、県内21市町のうち島原市を含む15市町(2021年度現在)。市は子育て世代向けの託児サービスなども検討、移住を後押しする。
 市は18年度、大都市での相談会などを通じて、移住・定住促進策を推進。17年度の移住者は8世帯19人だったが、18年度は35世帯50人に増加。以降、毎年度40~80人程度が移住し、成果を上げている。
 同課担当者は「島原は街の機能がコンパクトにそろい、子育て支援も充実している。お試し住宅で暮らしやすさを知ってもらい、移住のきっかけにつなげたい」と話す。


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