デンソーテン、音響信号から振動信号をリアルタイムで自動生成する技術開発

株式会社デンソーテン(以下、デンソーテン)は、映像・音響信号を含む3Dオブジェクトデータをもとに振動効果を与える場面・タイミングを自動で検出し、その場面の音響信号から、音響信号と連動した振動信号をリアルタイムで自動生成する技術を開発した。4月26日付のプレスリリースで明かしている。

従来、椅子やシートを振動させるためには、あらかじめ振動信号を準備する必要があり、その時々に応じてリアルタイムに振動信号を生成するのが困難だった。今回、同技術を搭載したソフトモジュールに映像・音響信号を含む3Dオブジェクトデータを通すことで、振動効果を与える場面・タイミングの検出と振動信号生成までを自動でリアルタイムに行えるようになる。座面や背もたれなどに組み込まれた複数の振動デバイスをリアルタイムに個別に制御することで、振動を活用した情報提示が可能だ。これにより、従来の視覚・聴覚だけでなく、触覚を利用して直感的な状況判断につながり、安心・安全に貢献する。

同技術は、例えば、車両に搭載したカメラやマイクから得た3Dオブジェクトデータをもとに、周囲の車両等が自車に接近した際の接近感覚を振動によって知らせることができる。ほかにも、ナビゲーションとの連携により右左折等の進路指示を振動の方向感で提示するなどが可能だ。また、運転シミュレータに同技術を組み込むことで、より現実感のある疑似的な運転体験なども提供できる。

また、同技術により、複数の振動デバイスに入力する振動信号の振幅、周波数、遅延などのパラメータを個別に制御することが可能だ。少ない振動デバイスでも任意の箇所で振動感や振動の方向感を再現することができる。

同社は、車載音響システムやホームオーディオシステムなどで長年培った音響信号制御のノウハウを生かし、同技術の開発を行っている。今後、同技術を搭載したソフトモジュールとして、2022年度中の実用化に向け準備を進めていくという。

デンソーテングループは、企業ビジョン「VISION2030」を策定した。同社は、人と地球に優しい製品でクルマの魅力を高めるクルマの価値向上や、移動の課題を解決し人々の生活を豊かにすることに貢献する生活の価値向上への取り組みを具体化する。そして、人・モノ・モビリティなど、“移動”の困りごとを解決するモビリティソリューションパートナーを目指し、環境にやさしいモビリティ社会、安心・安全なモビリティ社会の実現に貢献すると述べている。

(出典:デンソーテン Webサイトより)

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