広島特産の「広島菜」。秋の作付けにむけて種を取る作業が行われています。
広島菜発祥の地、広島市安佐南区川内地区。上村利樹さん(67)の畑ではこの時期、春の広島菜の収穫が行われています。
その上村さんの家で5日、来シーズン用に広島菜の種をとる作業が行われました。まず、干した広島菜の茎をブルーシートの上に置き、息子の隆介さん(38)が足で踏みます。
茎についているサヤを破ります。これを、ふるいにかけると…。
直径1ミリほどの茶色い玉が見えてきました。
これが広島菜の種です。
このあと送風機で風を送り種だけを残していきます。
上村利樹さん
「今年はいい種が採れましたね。粒が大きい」
隆介さん(38)
「モノがよかったけえね、今年、親株がよかったけえ」
■「いい種が採れた秘密」は…
料理研究家で、畑と消費者を結ぶ「むすぶ広島」代表の花井綾美さんも、カメラマンとともに取材していました。
「むすぶ広島」花井綾美代表
「こんな小っちゃい種から、何キロもある大きな株がのるっていうのが、すごいですよね。生命の神秘というか。ちょっと感動です」
「いい種がとれたのは親株がよかったから…」とは、どういうことなのでしょうか?
柴田和広記者
「実は、いい種を取る秘密は、今から遡ること1か月前のこの畑にありました」
まだ黄色い広島菜の花が咲いています。
花の下のサヤの膨らみ、中に宿っているのが種です。その根元にあるのが親株です。
ここは上村さんの種を取るための畑です。
冬に実った何万株の広島菜の中からいいものだけ15株を集めたのです。
高齢化などで、川内地区でも自家採種をする農家は減っていますが、今も10軒ほどが伝統を守っています。
その広島菜、今シーズンは例年より収穫量が増えています。
上村利樹さん
「農協さんがね、増産してくれいうことで。今年だけは、「ひろし」さまさまですね」
「ひろし」とは、地元食品メーカー「三島食品」の広島菜漬を使った混ぜご飯の素です。
売れ行きがよく、原料の広島菜も増産となっていました。
来シーズンはどうなるのか。上村さんは9月中ごろ、種をまいて作付けを始める予定です。