選挙プランナーが注目する「参院選注目選挙区」はここだ!東京選挙区(大濱﨑卓真)

改選議席定数が最も多い選挙区でもある東京選挙区は、与党第一党・野党第一党がそれぞれ複数候補者を擁立するなど数多くの立候補者が登場しますが、今回の参院選も同様の構図となる見込みです。

自民党

自民党は、現職の朝日健太郎氏と、新人の生稲晃子氏を擁立しました。
朝日氏は2期目の挑戦となりますが、1期目当選以降も積極的な選挙応援を行ったりするなど党内での活躍もあり、また知名度も引き続きあることから、盤石な戦いを進めるとみられます。
生稲氏は、おニャン子クラブ世代を中心とした知名度があり高齢者層の票を獲得することはできそうですが、朝日氏と(世代や対象は異なるとはいえ)「芸能人枠」という意味で被る点がどのように評価されるかが鍵を握るでしょう。
自民党の総得票を半数ずつで分かち合うような票割りができれば、2候補とも安全圏といえます。
支持組織や団体をどのように割り振るか、地方議員の応援態勢も含めた動きにも注目をしていきたいところです。

立憲民主党

立憲民主党は、現職の蓮舫氏と新人の松尾明弘氏を擁立しました。
蓮舫氏は前身となる党で党代表を務めるなど知名度があり、また国会質疑などでのマスメディア露出も極めて多いことから、前回同様上位当選が見込まれています。
新人の松尾明弘氏は、今回不出馬が見込まれる小川氏に代わる候補者擁立のプロセスにより公認決定が遅れたことにくわえ、都心部と多摩地域での知名度の差があり、現時点からの巻き返しが急務です。
自民党の朝日氏と生稲氏以上に票割りが難しいとみられ、党都連の采配が期待されるところです。

公明党・共産党

候補者を現職の1人に絞る公明・竹谷とし子氏と共産・山添拓氏は、それぞれの支持者を中心に票を固めていく選挙になると思われます。
特に公明党は支援者の高齢化が顕著で課題になっているとはいえ、東京選挙区ではこれまでも盤石な戦いをしており、比例700万票獲得に向けての運動が加速化していることや、先般行われた東京都議会議員選挙の終盤戦における猛烈な巻き返しを鑑みれば、当選ラインの上での戦いになると思われます。
一方、共産党も支持者層は固く高齢化の課題が当落に影響を及ぼすほどではありませんが、立憲民主党が候補者を2人擁立しているほか、れいわ新選組も候補者を擁立するなどしており野党系候補者が多くなっていること、さらにれいわ新選組は現在の依田花蓮候補予定者から、山本太郎代表へ候補者を差し替えるのではないか、との憶測も出ていることから、予断を許す情勢ではないでしょう。

日本維新の会

日本維新の会は、大阪市議会議員の海老沢由紀氏を擁立しました。
海老沢氏は現職の大阪市議会議員ということで(選挙においても政治においても)即戦力となることから選ばれたとみられます。
3年前に東京選挙区で当選した音喜多参院議員を中心とする東京維新の会メンバーではなく、大阪の候補者を擁立したことがどのように都民に捉えられるかが最初の関門ですが、昨年の衆院選以降比較的高水準で続く維新の政党支持率を個人の得票に繋げることができれば、当選が見えてきます。

ファーストの会

ファーストの会からは東京都議会議員の荒木千陽氏が立候補を予定しています。
これまで何度か国政の挑戦意向が観測されていましたが、今回の初挑戦でどの程度票が出るでしょうか。
ファーストの会の母体である都民ファーストの会が積極的に支援をするなか、選挙戦終盤で小池東京都知事が応援に入るような「小池旋風」ともいうべき都議選の再来が起きれば、最終盤に猛烈な追い上げで当選圏内に入るような戦いがみられるかもしれません。

れいわ新選組

れいわ新選組は新宿区議会議員の依田花蓮氏を擁立します。
れいわ新選組は「声なき声を国政に」と訴えた2019年参院選では、重度障がい者の方をはじめとするマイノリティと呼ばれる人たちを多数擁立し、比例区で2議席を獲得しました。
その後は一転して元国会議員などを衆院選に擁立するなど路線と異なる候補者擁立も目立つようになっていましたが、今回の東京選挙区での依田氏の擁立は原点回帰とも言えるでしょう。
一方、山本太郎代表が参院選への立候補を表明していることを考えれば、(山本代表は既に候補者を擁立している選挙区での自らの立候補を否定しているものの)山本太郎氏への候補者差し替えの可能性は払拭できません。その場合は、野党系の票が集中することで一定の票を獲得し当落争いに絡むこともありえるでしょう。

総括:東京選挙区

現時点では、自民・立憲・公明・共産のそれぞれ1議席はほぼ固い情勢で、残り2議席を自民の2議席目、立憲の2議席目、維新、ファースト、そしてれいわで争う構図になりそうです。

6月の選挙までにどれだけ地盤を固めることができるか、そして選挙期間中に空中戦の展開を含めてどれだけメディア露出を増やし話題をつくることができるかが、この2議席を占う要因となるでしょう。

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