グリッケンハウスが僅差の争いを制し初ポール。トヨタは3&4番手/WEC第2戦スパ予選レポート

 5月6日(金)、WEC世界耐久選手権2022年第2戦『スパ・フランコルシャン6時間レース』の公式予選が、ベルギーのスパ・フランコルシャンサーキットで行われ、ハイパーカークラスに参戦するグリッケンハウス・レーシングの708号車グリッケンハウス007 LMH(オリビエ・プラ/ロマン・デュマ/ピポ・デラーニ)がポールポジションを獲得した。

 陽が傾くなか、セッション開始を前にレースディレクターのエドゥアルド・フレイタスからはトラックリミット違反に注意するよう促す内容の無線が、各チームへと伝えられる。

 現地時間18時20分、ドライコンディションのもと、まずはLMGTEプロ&アマクラスの10分間の予選セッションが始まった。

 開始時の気温は18度、路面温度は30度。LMGTEアマの各チームが一斉にピットアウトした後、やや間隔をあけてLMGTEプロクラスの5台がコースへと向かった。

 まずはアマクラスのTFスポーツ33号車アストンマーティン・バンテージAMRのベン・キーティングがトップタイムをマークするが、すぐにトラックリミット違反によりタイムが削除される。

 全車がファーストアタックを終えた時点でのトップは、プロクラスに参戦するポルシェGTチーム92号車ポルシェ911 RSR-19のミカエル・クリステンセン。これに0.6秒差で僚友の91号車ジャンマリア・ブルーニが続き、AFコルセの52号車フェラーリ488GTE Evoをドライブするミゲル・モリーナが3番手に続く。アマクラスでは、ノースウエストAMR98号車アストンのポール・ダラ・ラナが2周目のアタックでクラス首位に躍り出る。

 コルベット・レーシングの64号車シボレー・コルベットC8.Rのニック・タンディ、AFコルセ51号車のアレッサンドロ・ピエール・グイディもタイムアップを果たすが、ポルシェの2台には届かない。そんななか、クリステンセンはアタック2周目にさらにコンマ1秒タイムを縮め、2分14秒481を叩き出した。

 アタック3周目に入り、アマクラスでは再びキーティングが首位に浮上。アストンマーティンのワン・ツー体制となる。

 プロクラスではコルベットのタンディが2分14秒606と首位に肉薄する2番手に。しかしその直後、ポルシェ91号車のブルーニがトップに踊り出る。一方でクリステンセンはこの周ピットに向かい、アタック終了。チェッカーが提示され、ブルーニのLMGTE最速が決まった。

 2番手にはポルシェ92号車、3番手にはコルベットのタンディ、4番手にAFコルセの51号車、5番手に同52号車と続くプロクラスの予選結果となった。

 TFスポーツ33号車のキーティングは最終ラップにもさらにタイムを縮め、アマクラスのポールポジションを確保。クラス2番手はノースウエストAMR98号車のダラ・ラナ、同3番手はチーム・プロジェクト1の56号車ポルシェをドライブしたブレンドン・イリービとなった。

 日本籍のDステーション・レーシング、777号車アストンマーティン・バンテージAMR(星野敏/藤井誠暢/チャーリー・ファグ)では星野がアタックを担当し、クラス7番手となっている。

LMGTEプロクラスの最速タイムをマークしたポルシェGTチームの91号車ポルシェ911 RSR-19
Dステーション・レーシングの777号車アストンマーティン・バンテージAMR
LMGTEアマクラスの最速タイムをマークしたTFスポーツ33号車アストンマーティンのベン・キーティング

■トヨタは可夢偉とハートレーがアタックを担当

 続いて18時40分からは、ハイパーカー&LMP2クラスの10分間の予選セッションとなった。トヨタGAZOO Racingでは7号車GR010ハイブリッドで小林可夢偉が、8号車GR010ハイブリッドではブレンドン・ハートレーが予選アタックを担当。

 アルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソンではマシュー・バキシビエール、グリッケンハウス・レーシングの708号車ではオリビエ・プラがステアリングを握っている。

 アウトラップ、レ・コンブでインターユーロポル・コンペティション34号車オレカ07・ギブソンのエステバン・グティエレスをパスしようとした際、コンタクトを避ける形でユナイテッド・オートスポーツUSA22号車オレカのフィリペ・アルバカーキがスピンを喫する。

 1周目のアタックでは、グリッケンハウスのプラが2分02秒771をマークして、まずは暫定トップに。これにアルピーヌのバキシビエールが2分02秒999と肉薄する。さらにLMP2クラスのチームWRT31号車オレカのロビン・フラインスが続いた。トヨタの2台は首位から3〜5秒ほどのギャップで1周目のアタックを終える。

 トヨタはアタック2周目にはハートレー、可夢偉ともにタイムを縮め上位へと浮上したが、アルピーヌの背後、3〜4番手となる。

 LMP2クラスではJOTA38号車、ユナイテッド22号車、AFコルセ83号車、リシャール・ミル・レーシング1号車、JOTA28号車の各陣営はいったんピットへと戻ってから再びコースへ出ていき、最終アタックに臨んだ。

 一方、グリッケンハウスとトヨタの2台、そしてこの時点でLMP2クラス首位のWRT31号車、同2番手のプレマ・オーレン・チーム9号車オレカのルイ・デレトラズらは、チェッカー前にピットへとマシンを戻し、アタック終了。ほかのマシンの結果待ちとなった。

 上位勢ではアルピーヌのみがチェッカーまでアタックを続けたが、惜しくもベストタイム更新はならず。これでグリッケンハウスのWEC初ポールポジションが決まった。

 LMP2クラスでは、いったんピットに戻ったあとに再びアタックをした陣営を中心に、チェッカーが振られるなか次々にタイムを更新。

 まずはユナイテッド22号車のアルバカーキがWRT31号車に続くクラス2番手へと浮上。しかしその直後、AFコルセ83号車のアレッシオ・ロベラがフラインスのタイムを上回り、総合5番手、クラストップに躍り出た。

 これでハイパーカー&LMP2の予選セッションが終了。ポールにグリッケンハウス、2番手にアルピーヌが続き、トヨタの7号車が3番手、8号車が4番手という結果となった。

 総合5番手がLMP2クラス首位のAFコルセ83号車。以下、WRT31号車、ユナイテッド22号車、プレマ9号車、ノルマン・ナトがアタックを担当したリアルチームbyWRTの41号車と続いている。

 6時間で争われる決勝レースは5月7日、現地時間13時(日本時間20時)にスタートが切られる予定だ。

最終アタックでLMP2クラスの最速タイムをマークしたAFコルセ83号車オレカ07・ギブソン
小林可夢偉のアタックにより予選3番手となったトヨタGAZOO Racingの7号車GR010ハイブリッド
ポールポジション獲得を喜ぶオリビエ・プラとピポ・デラーニ

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