自作した絵本を幼稚園や保育園に寄贈している元中学校長、内田隆志さん(69)=倉敷市=と保育士、川本千代子さん(60)=同市=が、子どもの話をしっかり聞くよう大人に呼び掛ける新作を作った。各地で相次ぐ子どもの虐待死事件を受け、育児に悩む親のために役立ててほしいと手掛けた。
タイトルは「しゅりちゃんとへーくんとほーくん」。こども園に通う主人公のしゅりちゃんは、父親からプレゼントとして人の話を聞くと「へーっ」「ほーっ」と反応し、相手を抱き締めるロボットをもらう。しゅりちゃんはその日の出来事などをロボットに話し、コミュニケーションを取りながらいろんなことができるようになっていく―というストーリー。
ゲームを持っている子をうらやましがるしゅりちゃんにロボットが「クラベッチャダメ」と言う場面を通じ、他人と比べなくていいと、子どもへのメッセージも込めた。
テレビCMで見たキャラクターに着想を得て「保護者や園の先生に試してほしいことをロボットに託した」と内田さん。川本さんは淡い色合いで作画し、丸みのある愛らしいロボットに描き上げた。「しゅりちゃん」は、2020年12月に生まれた川本さんの初孫の名前に由来している。
250部作り、倉敷市内の幼保施設や図書館に寄贈。東日本大震災以降2人が支援活動を続ける宮城県石巻市と南三陸町の幼保施設にも贈った。
2人は「忙しいと、つい子どもにおざなりな反応をしてしまうこともあるかもしれないが、ロボットのように驚いたり、抱き締めたりしてもらえたら」と願っている。
内田さんが倉敷市立玉島北中の教頭だった際、川本さんが同中PTAの副会長だった縁で交流を続ける2人。絵本の共作は内田さんがストーリーを考え、川本さんが挿絵を担当するスタイルで、今回が15作目になる。