ジャズの音響く 佐世保「海辺のコンサート」今年も開催

ジャズなどをにぎやかに演奏する「海辺のコンサート」の出演者ら=佐世保市

 佐世保港近くの屋外で今年も「海辺のコンサート」が開かれ、日曜日の昼下がり、にぎやかなジャズの音色が響いている。新型コロナウイルスの影響で従来のイベントが開催できなくなり、「音楽をとめてはいけない」と始めたジャズライブは3年目を迎えた。
 企画したのは長崎県佐世保市のジャズスポット「いーぜる」のオーナー・前田和隆さん(60)。県内外のジャズ演奏家が集う市内の音楽イベント「佐世保JAZZ」を開いてきたが、コロナ禍で2020年から中止に。いーぜるも時短営業になるなど、市民からジャズへの関心が離れていく危機感を抱いていた。
 そこで、密を避けながら演奏できる屋外ライブを発案。自家用車から電気を引いてアンプにつなげ、特製のコンサート会場を作り上げた。
 コンサートは春と秋の日曜日に開催する。4月に開いた計4日間のコンサートには県内から延べ約80人が出演。1回の公演でジャズや邦楽、ラテンなど30曲以上を演奏し、約300人が詰めかけた。出演者が「マスクの下で歌ってくださいね」と呼びかけると、観客らは手をたたいたり、体を揺らしたりして楽しんでいた。
 諫早市から訪れた看護師の梅本真由美さん(50)はコロナ禍やウクライナ情勢などで「普通に音楽を楽しめることがこれほどの幸せか」と目を細めた。コロナ収束の見通しは立たないままだが「感染対策を万全にしながら、少しずつ音楽活動が続けられるようになってほしい」と希望を語った。前田さんは「コンサートを長く続け、町中にジャズの音が響き続けてこそ、本当の“ジャズの街”になる」と力を込める。
 コンサートは5、10、11月の毎週日曜日の午後1時~4時、新港町の岸壁緑地エリアで開く。


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