津山市の地域おこし協力隊員で阿波地区を拠点に活動する柳生光昭さん(41)が地元に自生しているワサビの特産品化に乗り出した。手作りの水耕栽培用プランターで試験栽培を開始。順調に育てば、しょうゆ漬けに加工する予定で「栽培法を広めて山里の新たな収入源に育てたい」と夢を描く。
鳥取県境に接する阿波地区は、年間を通して涼しく、澄んだ冷たい水が流れるなど栽培に適した条件がそろうという。昨年4月に着任後、昔は家庭でワサビを採って漬物にしていたとの話を住民から聞き、特産化を決めた。
ワサビ田を整えるより初期投資を抑えられるため、プランターで栽培することにした。川砂を敷き詰めたスギ製のプランター(幅2メートル、奥行き30センチ、深さ35センチ)は4基が階段状に連なり、ホースで引き入れた山水が順番に下の段へと流れる仕組み。昨年11月から3カ月かけて手作りした。
雪解けを待って4月24日、住民と一緒に自生しているワサビを採取し、翌25日に苗40株をプランターに植え付けた。11月に収穫して加工し、地元で月に1度開かれている朝市に出品する予定。
柳生さんは「水と空気がきれいな阿波だからこそ上質のワサビが育つ。栽培を成功させ、住民にも勧めて規模を広げられたら」と話している。