ハチの死骸が何なのよ?【木造駅舎カタログ】山陰本線45/146 城崎温泉駅

※2020年8月撮影

トップ画像は、山陰本線城崎温泉駅。初めて来ました。立派な木造駅舎にビックリ。実は二代目RC造駅舎です。タイトルを【RC造駅舎カタログ】とすべきかもしれませんが、外観が“いかにもRC造=鉄筋コンクリート”という建物以外は基本的に【木造駅舎カタログ】ですすめます。ご了承ください。

城崎温泉と言えば、高校時代現代国語の教科書に出て来た志賀直哉の『城の崎にて』という十代の子供には退屈なダケの小説とも随筆ともつかない「私小説」で記憶した地名でした。「簡潔で無駄の無い文体」と「適切な描写」でとにかく「名文である」と繰り返される授業にウンザリしたものでした。ハチの死骸が何なのよ?・・・という気分でした。(笑)

十代の生意気な小僧だった筆者は、倉橋由美子の硬質で温度のない文章に夢中になり、安部公房の不思議な小説に読み耽り、「絢爛な語彙で物語ではなく言語・記述に関する思惟を作品化」する若き日の金井美恵子がアイドルだったのです。「私小説」をアタマからバカにする「反自然主義一派」に心酔していたのですから志賀直哉なんてマトモに読んだことすらないのです。

駅前の「城崎文学散歩」で島崎藤村の碑を見て、そんな十代の自分を思い出して笑いを噛み殺していました。

※2020年8月撮影

城崎温泉駅舎の手前、丸い郵便ポストの向こう側に城崎温泉の旅館が毎年下駄を奉納する「下駄奉納板」があります。

※2020年8月撮影

流石に超有名な観光地の玄関駅、大きな駅前ロータリーがあります。コウノトリ像が見えます。

※2020年8月撮影

立派な駅舎は、大正15年(1926年)に建造された二代目。元号が昭和に換わる頃の建物ですが2016年(平成28年)徹底的にリニューアルされています。

※2020年8月撮影

日本海に沿って西に向かっていた山陰本線は、この城崎温泉駅から南に下がってゆきます。北側に駅舎温泉 「さとの湯」の大袈裟な建物。さとの湯は、豊岡市城崎総合支所温泉課庁舎でもあります。

※2020年8月撮影

城崎温泉駅は、1909年(明治42年)鐵道院の城崎駅として開業。当初は播但線の所属でした。1912年(明治45年)線路名称改定で山陰本線に編入され山陰本線所属駅になります。1925年(大正14年)北但馬地震で駅舎が倒壊。1926年(大正15年)二代目駅舎完成。1949年(昭和24年)駅舎改築。

1970年(昭和45年)貨物取扱が廃止。1986年(昭和61年)京都駅~城崎駅間電化。国鉄分割民営化でJR西日本に承継。2000年(平成12年)「駅舎温泉さとの湯(豊岡市城崎総合支所温泉課庁舎)」オープン。2005年(平成17年)駅名を城崎温泉駅に改称。

2016年(平成28年)「TWILIGHT EXPRESS瑞風」の停車など観光客を「おもてなし」するための駅舎改修工事実施。この駅から山陽本線は京都駅まで電化されています。

※2020年8月撮影

訪れたのは土曜日。ちょうど特急列車が関西方面から到着したのでお迎えのスタッフが駅前に来ています。観光客がたくさん降りて来ました。

※2020年8月撮影

人が多かったので15分ほど待って駅出入口を再度撮影しました。

※2020年8月撮影

「駅舎温泉さとの湯(豊岡市城崎総合支所温泉課庁舎)」エントランスです。最高気温が37℃も無ければ温泉も悪くないのですが・・・。

※2020年8月撮影

※鉄道の撮影は鉄道会社、鉄道利用者、関係者などのご厚意で撮らせていただいています。撮影は何よりも安全が最優先。あくまでも業務・利用の邪魔にならないように、そしていつも感謝の気持ちを持って撮影しています。

(写真・文章/住田至朗)

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