『浅草キッド』に登場!ビートたけし、渥美清らを生んだ伝説の劇場「東洋館」とは?

『浅草キッド』に登場する伝説の劇場「東洋館」

「浅草フランス座演芸場東洋館 (東洋館)」は、多くの人気芸人を生んできた歴史ある劇場です。

もともとは、1951年に浅草六区に「浅草フランス座」として誕生したストリップショー劇場でした。その後、ストリップショーの合間に演じられるショートコントが人気を博したことから、1959年にはコメディを演じる「東洋劇場」も新設。

また、建物の改築に伴って、当時としては珍しいエレベーターを増設しましたが、その際に雇ったエレベーター係が、かの「鬼才」ビートたけし(北野武)でした。その生涯を描いた映画『浅草キッド』(主演:柳楽優弥)には、この時の「フランス座」の様子が描かれています。

その後、数度の閉館を経て、2000年に都内唯一の漫才・コントの公演場「東洋館」として再スタートを切りました。また、同じ建物にある「浅草演芸ホール」は落語中心の寄席として、年間365日の公演を行っています。

著名な出身者

「東洋館」は、その歴史の中で多くの大スターを生んできました。

今でもよく知られているのは、『男はつらいよ』シリーズで主役「寅さん」を演じた渥美清、「浅草フランス座」時代の大スターだったビートたけし、「仮装大賞」の司会を務めた萩本欽一らではないでしょうか。このほか、長門勇、由利徹といった看板芸人もいました。

なぜ「フランス座」?

「東京・浅草にあるのに、なぜフランス座という名前が付けられたの?」そんな疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか。

この劇場の名付け親は、作家・永井荷風です。彼は20代の時に欧米に滞在し、特にフランスを好きになりました。

劇場の常連客でもあった永井荷風は、新劇場の名前の相談を受けたとき、迷わず「フランス座」と答えたのだとか。そこには、「世界レベルの娯楽の殿堂になろう」という思いも込められていたということです。

そのため、現在も看板には「フランス座」の名が残されています。

東洋館の内部はどうなっているの?

さあ、浅草芸人の殿堂の中に入ってみましょう!

入口

東京メトロの浅草駅から徒歩約10分で行ける東洋館。入口はドン・キホーテ側ですが、同じ建物内にある浅草演芸ホールは別の場所に入口が設けられているので、ご注意を。

入場料は「木戸銭」と呼ばれ、大人が一般2,500円、学生が2,000円です。特別興行は大人3,000円、学生2,500円です。

ビートたけしが働いていたエレベーター!

チケット売り場の横にあるエレベーターは、かつてビートたけしがエレベーター係をしていた時のものが残されています。誰でもこのエレベーターで4Fまで上がれます。

筆者がエレベーターに乗ったとき、『浅草キッド』で、大泉洋演じる深見千三郎が軽快にタップダンスを踊るシーンが脳裏によぎりました。『浅草キッド』公開時、このエレベーターは映画ファンの聖地のひとつになったそうです。

売店

たくさんのスナックや飲み物が販売されている売店。観客は、飲食しながら公演を楽しめます。Tシャツやサイン入りの本、CDなど、出演芸人のグッズもあります。

ここで特に面白いのは、おみくじ付きのお菓子「東羊羹」(税込150円)でしょう。大吉が出るとチケットが1枚無料になります。東洋館を訪れた方は、ぜひ運試しをしてみてくださいね!

舞台

東洋館では、1日15〜20組の芸人がステージに立ちます。1組あたりの出演時間は10〜15分ほど。

劇場は最大202人入りで、全席自由席です。ぜひ自分の好きな席を選んでみてくださいね。中には、前列の観客と触れ合う芸人もいますよ。

ちなみに、写真のライト横にある2Fから1Fに続く階段は、ストリップ劇場だった時代のなごりで、普通の劇場にはあまりない構造だそうです。

鑑賞時のマナー

東洋館には、特別決まった鑑賞ルールはありません。出入りも自由ですが、できれば公演中に席を立つのは避けた方がいいでしょう。

また、「笑い声」「拍手」を送ることが、壇上の芸人にとって最大の励ましとなりますよ。

日本のお笑い文化を体験する

「日本のお笑い文化を体験したい」「お笑い芸人の公演を間近で見たい」そんな人は、ぜひ東洋館に行ってみましょう。リーズナブルな価格で公演を楽しめ、時にはテレビ番組に出演するお笑い芸人を見ることもできますよ。

また、1Fの浅草演芸ホールでは落語も楽しめるので、伝統芸能を体験したい人にオススメです。

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