暑い日が増え、熱中症など体調の変化にも注意が必要ですが、エアコンを入れると電気料金が心配……と思う人も多いのではないでしょうか。
しかも、昨今の原油高騰やインフレなどの影響で、さらに電気代が高く可能性もあります。“今年は電気代が高いもの”と思い込んでしまう前に、電気料金の内訳ついて見ていきましょう。各電力会社の値上がりはいくらか、電気代節約の方法についても考えていきます。
電気料金の内訳
電力自由化によって、さまざまな電力会社が参入し、電気料金の計算方法がわかりにくい、と感じている人も少なくありません。
しかし、基本は次の3つの料金の合計です。
1.基本料金(最低料金)
2.電力量料金
3.再生可能エネルギー発電促進賦課金
では、順番に見ていきましょう。
基本料金(最低料金)
基本料金は、電力会社との1契約あたりの料金です。金額は契約アンペア数で決まっていて、仮に電気を使わない月があっても、この料金は支払う必要があります。ただし、まったく使わなかった月は割引になる場合もあります。
アンペア数が大きくなれば基本料金も高くなるので、小さめにしておくのも一案です。一人暮らしであれば30アンペア程度でもよいと思いますが、アンペア数が小さすぎると、エアコンと電子レンジを同時に使うとブレーカーが落ちて真っ暗、ということがたびたび起きてしまいます。
節電のために、あえて小さくしておく選択もありますが、自宅で仕事をする人は、アンペア数はゆとりをもたせておくほうが安心です。データ保存の前に電源が落ちてしまったら大変です。
電力会社によっては、「基本料金」ではなく、「最低料金」といい、一定の電気使用量の料金が含まれています。また、新しい電力会社だと基本料金がゼロ円の場合もあります。契約しているアンペア数は、電気料金のお知らせにも記載がありますが、ブレーカーの色でもわかります。確認しておきましょう。
電力量料金
基本料金に上乗せでかかる費用が電力量料金です。これは、使用する電気の量によって変動する料金です。節電の効果がすぐに表れる料金ですので、節電を頑張った月の電気料金はしっかりチェックしましょう。
頑張った分、安くなっていたらモチベーションがアップします。
一般的なモノなら、たくさん買ったほうが割引などでお得になる場合がありますが、電力については逆。少なく抑えたほうが得です。
電力量料金は、「1kWh」を基本の単位として単価が設定されています。
計算式は次のとおりです。
1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)
1kWhあたりの単価は、使用電力量が少ないほうが安く設定されています。
東京電力エナジーパートナーの、従量電灯Bの場合を見てみましょう。
電気は生活に欠かせない重要なインフラです。そこで最低限の電力はどんな人でも無理なく使えるよう、1段階目の単価は安く抑えられています。一方、3段階目の単価は、省エネ促進の観点から高い設定です。使用電力量は、2段階までになんとか抑えたいものです。
これらの計算で求められた金額に、燃料費調整額が増減され、電力量料金が決まります。
計算式は次のとおりです。
電力量料金=1kWhあたりの単価×使用電力量(kWh)±燃料費調整額
電気を作るには燃料が必要。原油、LNG(液化天然ガス)、石炭などの燃料を仕入れる費用に加え、輸入の場合には為替レートの影響があります。
これらのコストは変動しますので、調整費として単価とは分けて計算されることになっています。
過去3カ月の燃料価格の平均から計算し、金額は各電力会社から定期的に発表されています。燃料価格が安くなれば差し引かれますが、価格が上昇すれば加算になり、電気代は高くなります。
最近の世界情勢を見ると、原油の高騰、インフレ、円安と、燃料費調整額は高くなる要因が増えています。とはいえ、電気料金が急激に高くなると生活に影響が大きくなってしまいます。そこで、燃料費調整額には値上げの上限額が設定されています。
上限額は、料金設定の前提となる、平均燃料価格から求められた基準燃料価格の1.5倍です。上限を超えたらその分は電力会社の負担となります。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
ほかにも再生可能エネルギー発電促進賦課金が加算されます。
再生可能エネルギーとは、太陽光、風力、水力、地熱、バイオマスのうちいずれかを使った電力のこと。これらは持続可能な社会のために必要なものであり、国が一定価格での買い取りを約束しています。
しかし、まだまだコストが高いので、買い取りに必要な費用は電気を使う人が負担して、再生可能エネルギーの促進につなげています。単価は全国一律になるように調整されており、2022年5月検針分から適用される単価は、1kWhあたり、3.45円です。
※資源エネルギー庁を参照
結局、電気代はいくら高くなる?
電気の使用は前月と同じくらいなのに電気代が高くなったとしたら、それは燃料費調整額の値上がりの影響が大きいといえるでしょう。 燃料費調整額は、過去3カ月の燃料価格の平均額から計算され、2カ月後の電気料金に反映されます。
たとえば、1~3月の平均額は6月の電気料金に反映されます。
各電力会社が発表している、平均モデルの電気料金も値上がり傾向です。
2022年5月の電気料金
電気代を節約するには
電気代は、自分が使う電力量だけではなく、さまざまな要因で決まります。
とはいえ、できるだけ電気代は安くおさえたいものです。では、自分ができることとして、どのような節約方法があるでしょうか。
エアコンはつけっぱなしがおススメ
暑い季節の日中は、エアコンのスイッチを入れたり消したりするよりも、つけっぱなしにして室温を一定に保っておくことが節約につながります。エアコンをオフにすると室温が上がり、次にオンにすると設定温度を目指して一気に冷やそうとするため、オンにした直後は消費電力が大きくなりがちです。
つまり、オンの回数は少ないほうが節約につながるので、オン・オフを繰り返さない、あえてのつけっぱなしがおトクです。近所への買物程度なら、エアコンはつけたままでOK。さらにサーキュレーターを回すと、空気の循環によりエアコンが安定した温度で動きます。
冷蔵庫はゆとりのサイズ
冷蔵庫を買い替えるなら、消費電力は要チェックです。容量が大きいからといって消費電力も大きいとは限らず、逆に省エネになるケースも。
容量が大きければ、庫内の食材などもゆとりをもって入れておけます。冷凍室は詰めておいたほうが温度を保てるのでよいのですが、冷蔵室は冷気が噴き出す通気口と中心部を開けておくと、効率よく庫内を冷やせるので節約になります。
そして、冷蔵庫は庫内だけではなく、設置場所にもゆとりが必要です。冷蔵庫には、庫内を冷やして熱を外に逃がす、放熱板があります。放熱板をふさいでしまうと、余計な電力がかかり電気代がかさみます。
冷蔵庫の上にものを置いたり、放熱板と壁をぴったりつけてしまったりは禁物です。
直射日光を避ける
夏の電力消費は、なんといってもエアコンが大きくなります。そんななか電気代を節約するには、室内温度を上げない工夫が必要です。火を使う調理は短時間ですませる、電球は熱くならないLEDにする、掃除機をかける前にホコリをミニほうきなどで集めておく、なども有効です。
そして、直射日光を避けることもポイントになります。カーテンを遮熱や遮光にしたり、窓にシートを張ったりするのもいいでしょう。遮熱の性能は夏だけではなく、冬場も部屋の温度を下げない効果がありますので、ぜひ取り入れたい方法です。
電気代が高くなるのは、ある程度は仕方のないことかもしれません。
しかし、電気の使い過ぎを防ぐことは可能です。電気代も安く抑えられ、エネルギーも有効活用できます。できることからはじめてみてくださいね。