復帰直前の沖縄〈50年前きょうの1面〉5月8日「知事選、復帰前票固めねらう」―琉球新報アーカイブから―

 1972年5月15日に沖縄が日本に復帰してから今年で50年。27年間のアメリカ施政権下から脱して「祖国」の日本に戻るカウントダウンが進む中、本土との格差是正、自衛隊配備や米軍基地の取り扱い、ドル―円の通貨切り替え問題、初の知事選など、大きな歴史のうねりに翻弄される島の住民は山積する課題に直面する、そんな時代だった。復帰した後の沖縄の発展を展望しつつも、さまざまな制度変更にさらされる行政と政治。琉球新報の紙面もその歴史の一日一日を刻んでいった。  

 1972年5月8日の琉球新報1面は、「県庁、首脳部人事ほぼ固まる/出納長に新垣氏/総務・仲松氏、企画・喜久川氏の公算」との見出しで、復帰後に始動する沖縄県庁の幹部の顔ぶれについて見通しを含めて報じている。
 中央のハラ位置には「知事・県議選/今週から中盤戦/両陣営、復帰前票固めねらう」との見出しで、復帰後の6月25日に投票される県知事選と県議選に向けて選挙ムードの高まりを伝えている.記事では「保守、革新両陣営ではゴールデンウイーク中までにそれぞれ第一次票読みを行ない、八日の連休明けからいよいよ中盤戦に突入するかまえであり、今後基礎票に上積みする浮動票を追って中部、那覇の都市地区に集中攻撃をかける方針」と紹介している。
 「『横田』から戦車空輸/東京平和委発表/〝本土の沖縄化の証拠〟」との見出しで、ベトナム戦の情勢を踏まえた米軍の本土からの展開を紹介している.記事では「ベトナム情勢の緊迫に伴う同基地の〝変質〟を調査してきた」と経緯を説明している。
 連載「米統治の総決算」は7回目で、「土地接収」がテーマ。「超党派で四原則要求/県民、生活擁護から反戦闘争へ」との見出しの連載の冒頭では「沖縄闘争の巨大なるエネルギーの源流はいってみれば、米軍の土地強制収用に対する激しい抵抗に始まる」と沖縄での基地に抗ってきた闘争の底流にある歴史をひもといている。
 
 
 
 
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 琉球新報デジタルは沖縄の日本復帰から50年となる2022年1月から、1972年5月15日の日本復帰に向かう沖縄の様子を日々伝える当時の琉球新報紙面を、琉球新報アーカイブから転載して紹介していきます。

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