南足柄の女声合唱団、美声響かせ60年 高齢化も元気あふれ 87歳指揮者の選曲光る

定期演奏会で歌唱する南エコーコーラス団員ら=南エコーコーラス提供

 南足柄市に結成60周年を迎えた女声合唱団がある。指揮者を務める蟻生栄子さん(87)を筆頭に音楽が好きな50~80代の市民ら26人が毎週2時間半の練習を精力的にこなし、美声を響かせている。今春には4年ぶりに定期演奏会も開催したメンバーらは「長い年月をかけて、みんなで楽曲を作り上げてきた」と胸を張る。

 合唱団「南エコーコーラス」は、1962年に誕生した。同市では一番長い歴史を持つ女声合唱団で、当初は母親らが育児や家事を一段落させた夜に集い、練習していたという。

 現在の森下文子代表(70)は97年に入団。「子育てが落ち着いた機会にと思い、趣味を再開した。当時の団員の演奏にびびっときて、気付いたら25年続けていた」と振り返る。森下代表の入団以降は、多い時には50人ほどのメンバーがいたが、高齢化が進んで今は半減した。

 ソプラノ9人、メゾソプラノ11人、アルト6人を率いるのは発足当時からのメンバーで、73年から指揮者を務めてきた蟻生さん。今も子どもたちの講師としても活動し、「野菜を切るように細かく発声を」といった分かりやすい表現での指導や選曲の良さが好評だ。蟻生さんは「80代を超えて高齢化してきたみんなが元気に歌い続けられていることがうれしい」と笑顔で話す。

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