サッカーの天皇杯全日本選手権出場を懸けた第27回富山県選手権は8日、県総合運動公園陸上競技場で決勝が行われ、J3カターレ富山が社会人チームの富山新庄クラブを延長の末、1-0で下して優勝、天皇杯出場権を獲得した。
カターレは富山新庄クラブの守備を崩せず、試合は延長へ。サイド攻撃で攻め立てた延長後半8分、途中出場のブラジル人FWルイス・エンリケが右からのクロスを頭で合わせてようやく先制。この1点を守り切った。
カターレは22日に高岡市の高岡スポーツコアで静岡県代表のJ3藤枝との天皇杯1回戦に臨む。
■新庄クラブ善戦及ばず FMルーカスけん引
カターレをあと一歩のところまで追い詰めた。富山新庄クラブは120分を戦い抜き0-1と善戦。PK戦突入直前に力尽きたが、プロ相手に互角以上の戦いを演じ、高橋勇菊監督は「相手を恐れずに最後まで戦うことができた」と胸を張った。
好守でチームを支えたのは2020年までカターレでプレーしたブラジル人MFのルーカスだ。185センチ、84キロの屈強なフィジカルで中盤を支配し、巧みなパスで好機も生み出した。
負けられない理由があった。カターレのブラジル人FWマテウスは母国の強豪フルミネンセの下部組織時代に共にプレーした仲間同士。「試合前にマテウスから『手加減して』と言われた」と明かしたが、試合では厳しく当たり、仕事をさせなかった。「マテウスはとてもうまくなっていた。一緒にプレーできてうれしかったけど、負けてしまって悔しい」。約10年ぶりの再会を喜びつつ、唇をかんだ。
所属する北信越1部リーグではまだ未勝利だが、大きな手応えを感じた一戦になったに違いない。ルーカスは「しっかりと顔を上げて切り替え、次の試合で頑張りたい」と意気込んだ。(南貴大)