新生TC2000はトヨタのサンテロがスプリント制覇も、日曜はシボレーが1-2/STC2000第3戦

 隣国ブラジルのSCBストックカー・ブラジルと並び、アルゼンチン発の“世界最速FFツーリングカー選手権”を称するスーパーTC2000(STC2000)第3戦が4月30~5月1日に開催され、土曜スプリントはTOYOTA GAZOO Racing YPFインフィニアのジュリアン・サンテロ(トヨタ・カローラSTC2000)が、今季採用の“サクセスウエイト”にも負けず12周のレースを制圧。しかし日曜ファイナルはシボレーYPFチームの王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)が、僚友ベルナルド・ラヴァーを引き連れ、ワン・ツー・フィニッシュを決めている。

 長らく続いてきたアルゼンチン国内でのシリーズ分裂が今季開幕前に和解合意に達したことにより、これまで並存していた『TC2000(ツーリスモ・コンペティション)』と併合されることとなったSTC2000は、改めて同イベントよりシリーズ名称統一を含めた再出発を切った。

 15年ぶり開催となったブエノスアイレス州バイアブランカでの第2戦に続き、その旧TC2000併催イベントとして実施された第3戦は、直前まで開催地未定のままスケジュールが進んでいたが、同国東部メソポタミア地方に位置するエントレ・リオス州のコンコルディア・オートドロームでの開催が決定。同トラックでの走行はSTC2000車両としては初の試みとなった。

 南米大陸最高峰の“ハイテクFFツーリングカー”を自称するシリーズの初走行では、今季より新生アクシオン・エナジー・スポーツSTC2000として参戦する2019年王者リオネル・ペーニャ(ルノー・フルーエンスGT)が1分42秒470と最初のトップタイムを記録し、続く2度目のセッションではラヴァー、カナピノのシボレー勢が首位を奪い合う展開に。

 迎えた予選ではそのシボレー2台が最速タイム合戦を繰り広げると、チャンピオンの貫禄を披露したカナピノがキャリア通算31度目のポールポジションを奪取。僚友に威厳を示すと同時に、歴代の最前列獲得記録でシリーズの“伝説”として君臨するホセ-マリア・ロペスに並ぶこととなった。

これまで並存していた『TC2000(Tourismo Competetión)』と併合されることとなったSTC2000は、改めて同イベントよりシリーズ名称統一を含めた再発進を切った
リバースグリッドの優位も活かし、グリッド最大60kgを積む“重たいカローラ”が躍動
シリーズ連覇も経験するPuma Energy Honda Racingのファクンド・アルドゥソ(ホンダ・シビックSTC2000)は、週末トップ5に絡めず
5冠王者マティアス・ロッシの後継者として、TOYOTA GAZOO Racingを牽引するジュリアン・サンテロ

■シボレー勢が2戦連続のワン・ツー達成

 そのまま現地土曜午後17時30分に迎えた12ラップ・スプリントは、予選トップ8のリバースグリッド採用でTGRAのサンテロが首位発進を切ると、降雨が心配される曇天の下でグリッド最大60kgを積む“重たいカローラ”が躍動。

 同じくリバースの恩恵を受けたイグナシオ・モンテネグロ(ルノー・フルーエンスGT)や、ホルヘ・バリオ(トヨタ・カローラSTC2000)らを従え、チャンピオンシップ首位を維持する勝利を手にした。

 明けた日曜午前は快晴のもと“フルタンクテスト”が実施され、シボレーのラヴァーが2戦連続で最速をマークしてクルーズの優秀なレースペースを確認すると、そのまま40分+1ラップの決勝へ。

 するとオープニングのターン1でアクシデントが発生し、ペーニャの“ピンク・ルノー”とプーマ・エナジー・ホンダ・レーシングのファビアン・シャナントゥオーニ(ホンダ・シビックSTC2000)が土曜スプリントに続いて遺恨の接触。いきなりのセーフティカー導入となる。

 これで作戦遂行が楽になった王者シボレーYPFチームは、2戦連続のワン・ツーに向けウエイトを考慮したセットアップとともに“プッシュ・トゥ・パス”もうまく管理し、わずかな波乱も寄せ付けずにフィニッシュ。カナピノ、ラヴァーに続く最後の表彰台にはマティアス・ミラ(ルノー・フルーエンスGT)が入り、TGRAのサンテロとFDCモータースポーツのフランコ・ヴィヴィアン(シトロエンC4ラウンジ)が続くトップ5となった。

 結果、選手権首位サンテロが98点まで伸ばし、連勝のカナピノが83点、僚友ラヴァーが81点で追う構図となった新生TC2000シリーズ。続く第4戦は5月21~22日の週末にパタゴニア地方最大の都市ネウケンで開催され、新旧TC2000シリーズのほかシルエットストックのトップレース(TopRace)やフォーミュラ・ナシオナルなどが一堂に会する『The Week of Speed』イベントに組み込まれての実施となる。

快晴となった日曜ファイナルではChevrolet YPF Teamの王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)がポール発進
FDC Motorsportのフランコ・ヴィヴィアン(シトロエンC4ラウンジ)が5位に喰い込む健闘を見せた
「ウエイトに対応したセットアップで、スイートスポットを見つけた」と連勝達成の王者アグスティン・カナピノ(シボレーYPFクルーズ)
連続1-2貢献のベルナルド・ラヴァー(シボレーYPFクルーズ)も、ランキング3位に浮上した

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